「過去との付き合い方について」晩菊 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)
過去との付き合い方について
1954年。成瀬巳喜男監督。元芸者の女は金貸しをしながら聾唖の女中と女二人の倹しい暮らし。元芸者仲間にも金を貸してやかましく取り立てている。そんななか、かつて心中未遂を無理強いされた男がやってきたり、一途に恋していた男から便りが来たりして、昔を振り返ることが多くなって、、、という話。
主人公の様子とともに3人の元芸者仲間の様子も描かれて、中年女たち(晩菊)の悲哀がじわじわと現れてくる。お金があったり、息子がいたり、娘がいたり、自分の店をもっていたり、何かを得ていながらも満たされない人々。いずれも過去を振り返るばかりの人々それぞの矜持、それぞれの諦め、それぞれの慰め。
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