劇場公開日 1993年2月20日

「少女を舐めるんじゃないよ」はるか、ノスタルジィ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 少女を舐めるんじゃないよ

2025年9月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 ある日漁港はアメリカの軍艦で埋め尽くされていた。主人公である綾瀬慎介は実際に見たわけじゃないが、父親のその言葉だけが頭の片隅にあった。戦後混乱期に少年だった綾瀬は75日間小樽に住んでいたが、その時の記憶を消そうとして小説家になった・・・しかし、盟友である挿絵作家(ベンガル)が急死したことにより、小樽の地に足を踏み入れた。すってんころりと水たまりで転んでしまったことから少女はるかと出会い・・・

 中年オヤジと少女の恋。などというモチーフを使いながら、単なるノスタルジィ恋愛と忌まわしい過去と向き合う姿を描いた作品。人間には「忘れる才能」が授けられた。記憶力よりも素晴らしい才能だ。軍艦に関しては忘れちゃいけない記憶だということを反証材料として用いているに違いないが、出自に関して、またトラウマとなるような人間関係は忘れなければならないこと。

 立派な小説家でありながら頭の中はエッチなことばかりという普通のオジさん。三好瑤子とハルカという名前の邂逅により、どこかで繋がっている運命を知るのだけど、思い出す旅の中で結局は、父親が売れない小説家で飲んだくれのオヤジ(川谷拓三)だったり、その妻(増田惠子)に売春させていたり、やがて様々な死の原因を思い出してしまう。そんな中で、三好瑤子と出会うのだけれど、その初恋の女の子まで忘れていたとは・・・頭はポンコツ。

 「この世で一番悲しいことは真実を知ること」だと言う。過去の恋愛を思い出す代わりに、忌まわしい過去まで思い出してしまう。ペンネームじゃなくて本名で勝負するべきだ!という父親の言葉も、過去を乗り越え、断ち切り、自分のものにしなければならないことだったのか。などと立派なことを語っても、結局は親子丼。要はエッチなオヤジでしかなかった・・・かも。石田ひかりのヌードが眩しい。

kossy
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