「潔」HANA-BI everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)
潔
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無駄口は一切ない作品でした。
台詞で全てを説明しようとする映画が多い中、その表現力が高い評価を得ていることに納得しました。
命を落とした部下の妻子や、障害を抱えた上に妻子にも逃げられ、自殺を図った同僚を気遣う優しさ。
子供も亡くし、余命幾ばくもない妻への並々ならぬ深い愛情。
それらは、言葉はなくとも西の行動に表れていました。
一方でヤクザには容赦なく暴力を振るいます。。
凶暴な敵意と、不器用なほどの厚情という、大きな振り幅を見せる西が格好良いです。
闇金に借金しており、何をするかと思えば本当に警官姿で銀行強盗をして返済。
どうしようもない不幸が次から次へと覆い被さる中で、シュールな?笑いがちょいちょい入ってくるのはコントの発想なのでしょう。(全然笑えないのですが。)
不思議な絵も独創的でした。
ほとんど言葉を交わすことなく最期の旅をする西夫婦の、以心伝心の関係が素敵でした。
「ありがとう、ごめんね」の言葉が沁みます。
美しく咲いて散る短命の花々や、着地と同時に消えるまばゆい粉雪か、真っ赤な血潮で飾る侍のような自決か、一瞬輝く花火のように夜空へ消えたい、そんな鮮やかな死生観を描いているようでした。日が沈む方角から西という名字なのでしょうか...?
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