「時代が生んだ壮絶な人間ドラマだといえる。」八甲田山 瀬戸口仁さんの映画レビュー(感想・評価)
時代が生んだ壮絶な人間ドラマだといえる。
日本の冬季軍事訓練で最多の死傷者を出し、近代以降の世界最大の山岳遭難事故でもある、1902年(明治35年)の「八甲田雪中行軍遭難事件」を映画化した人間ドラマ。
高倉健と北大路欣也が、別々の連隊で、八甲田山の雪中行軍を命ぜられる。厳冬の過酷な気象状況、認識不足、指揮系統の混乱、装備不足、低体温症などに直面し、悲劇を招く。
3時間近い上映時間は、もっと短くできなかったかなと。本作は、明るい要素や、救いとなる点がほぼ無い。狂気に満ちており、観客に歴史的事件の現実を、強烈に見せつけている。
1977年の日本映画配給収入第1位を獲得した大ヒット作。
どれだけ理屈に合わなくても、上司の指示が絶対だという理不尽さが、組織自体の暴走につながるストーリーが、終身雇用と年功序列が今より支配的だった当時の日本社会において、広く受け入れられたのだと思う。
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Moiさんのコメント
2024年11月3日
こんばんは。フォローと共感ありがとうございます。本作の監督はご存知の通り森谷司郎監督で、黒澤明監督の元で助監督を比較的長く務めた方ですね。撮影と演出は実際の遭難現地で難航を極め厳しい環境下で行われた事は有名な話です。上官が無能であるとその部隊は全滅するという失敗事例の教訓として最も多く語られる事件を描いてました。フォローさせていただきます。宜しくお願い申し上げます🙇