「わりと雑」八甲田山 buckarooさんの映画レビュー(感想・評価)
わりと雑
たぶん、すごく撮影は苦労したんだろうなあ、というのは画面からわかる。
わかるんだけど、不思議と『寒さ』を感じなかったんだよねぇ。
画面は猛吹雪でほとんど真っ白くらいの、加藤嘉扮する村の長言うところの『白い地獄』なんだけど、やっぱり俳優さんたちが、寒がってるのかどうなのか、表情がいまいち分かんないんだわ。
眉毛まつ毛が凍ってるのはわかるの。画面で。
でも辛そうじゃないんだよね。
バランスが悪いというのかな。猛吹雪猛吹雪猛吹雪!ばっかなの。
極寒の状況下で、人の体がどうなるか、例えばわかんないけど手が凍って動かせないだとか、吹雪で息ができなくて苦しむとか、震えが止まらないだとか細かいディテールが無いなあ、と思って。
そういうの、見たかったな。
それと、北大路欣也の隊が「道が分かりました!」ってなって、高倉健の隊に切り替わって、再び北大路欣也の隊にもどるとなんかまた猛吹雪の中歩いてるー。みたいな繰り返しがおおすぎ。
なんていうのかな、「とにかく過酷なんです!」っていうのをどんどん前に出しただけ、の印象。
天候が回復するかと思ったら「おい!また来るぞ!」「わー、またかよー!」みたいな描写が必要なんじゃないかな。
北大路欣也にも高倉健にも感情移入ができないつくりもソンだわ。
映画自体は、二人の男の心のつながり、みたいな内容になってたけど、どうなのかねぇ。
とにかく二人はやりたくなかったんでしょ?
それを上の命令でしかたなくやった。
途中までは、三國連太郎の強引さに戸惑う描写もあったけど、このへんの上官の理不尽さを作品の軸にして、もっと不満や反抗をテーマに描けば面白かったんじゃないかなー、と思うのでした。
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