白昼堂々のレビュー・感想・評価
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主演は藤岡琢也と渥美清のW主演 でも、どちらかというと藤岡琢也の方が大きな扱いです
白昼堂々
1968年10月公開
松竹、カラー作品
野村芳太郎監督
主演は藤岡琢也と渥美清のW主演
ラストシーンこそ渥美清でしめくくられますが、どちらかというと藤岡琢也の方が大きな扱いで、印象も、彼の演技の上手さが残ります
お話は渥美清の演じるスリの親分が九州の廃炭鉱からスリの一団を率いて上京してきて新宿の百貨店に狙いを定めて集団万引きを行うというもの
スリ摘発一筋の刑事がそこに絡んでいくというもの
倍賞千恵子は東京でその万引き団に加わる女スリ役
やっぱり渥美清が倍賞千恵子の演じるその女スリに惚れる展開
ところがどういうわけか本作では契約結婚という形で上手くいきます
ラスト近くで刑事に啖呵をきるところはサクラのイメージとは大違いの姿を観ることができます
あとフランキー堺が万引き団の雇われ弁護士役で少しだけ絡みます
これは大して目立ったものでなく残念
お話が進んで、万引き団もメンバーが次々にパクられてこの辺りが潮時かと別の大仕事を計画してクライマックスに突入します
退屈することなく観ることができます
小悪魔すぎる倍賞千恵子
腐れ縁の渥美清と藤岡琢也が白昼堂々デパートで万引きを行うクライムアクション。…なんだけど正直もう倍賞千恵子しか見えない。山田洋次の映画に出てくるときのようなウェットで陰りのある雰囲気は限界まで抑制され、したたかで豪放磊落な小悪魔っぷりが遺憾なく発揮されている。
泣き落としに色仕掛けとやりたい放題だし、いかにも仕事人といった風態の着物姿も美しい。全盛期の倍賞千恵子といえばエプロンか農作業着と相場が決まっているが、考えてみればそれは全て山田洋次のせいであった。山田組に属していなければ本作のような媚態たっぷりのセックスシンボル的キャリアを歩んでいた可能性もあったんじゃないかと思う。そもそも実妹の倍賞美津子なんかはモロにそういう感じだし。
ただまあ『男はつらいよ』シリーズで「兄の渥美清と妹の倍賞千恵子」という図式が骨の髄まで染み込んでいる身からすると、渥美清と倍賞千恵子が婚姻関係というのはなんだかものすごくイケナイことのような気がしてしまう。こういう「意図せぬ近親相姦」を目の当たりにするたびにプロダクションお抱えの役者だけでサイクルを回し続けるプログラムピクチャー方式の弊害を感じるのは、私が潔癖すぎるからだろうか?
渥美と藤岡の一世一代の策略が老練の刑事に見破られて全員逮捕というオチは予想通りではあるものの、その先の後日談はかなり明るい。にしても父親を逮捕した刑事と差し入れの品を一緒に選んでちょうだいよと気さくに話しかける藤岡の娘はかなり肝が据わっているな…
最後、急拵えの落書きタトゥーで地元の警察を追い返す倍賞千恵子があまりにも可愛かった。色気のある倍賞千恵子もいいじゃ〜んなどと言いながらもここで本当にタトゥーを入れない倍賞千恵子にどこか安心めいた信頼を寄せている自分がいる。やはり小悪魔、くらいがちょうどいいのかもしれない。
倍賞千恵子はキレイです
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