劇場公開日 1951年10月3日

麦秋のレビュー・感想・評価

全36件中、21~36件目を表示

4.5☆☆☆☆★ 「いいのかね〜、勝手に決めちゃって」 「本当に困ったも...

2019年5月5日
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☆☆☆☆★

「いいのかね〜、勝手に決めちゃって」

「本当に困ったもんですよ」

「う〜ん、どうしたもんかね〜」

小津の描く家族。それは世界にも類を見ない唯一無二な世界。

映画の途中で、楽しい会話の中。いきなり戦争から帰って来ない、消息不明の家族の会話になり。それまでの楽しい会話は暗くなる。

「もう帰らんモノと思ってますよ。これは(妻は)諦めておらんみたいですが…」

『晩春』でも、いきなり戦争の話題が登場し。一気に映画の世界観を一変させ。そして『東京物語』では、映画の歴史上でも驚異的と言えるあの台詞が原節子の口から発せられる。

「あたし…狡いんです」

《もはや戦後ではない》

当時の世の中がそんな風潮の空気の中、小津からの問い掛けは。一見して、映画が描く世界観からは逸脱した隠れたところで。
「忘れる訳が無い!忘れてはいけない!」…と言ったメッセージなのだろうか?

小津が描いた家族は、どうみても中流以上のかなり恵まれた家庭で間違いないのだと思う。
それでもなお、娘(この作品では妹)の結婚相手には、より位が高い身分の人に…と思う。

年齢差が有る事に不安を口にする母。
それに対して「贅沢言ってられないんだ!」…と。
「贅沢なのかね〜…」と母。
嫁を貰う男の立場に反し。嫁に行く女の立場の違いには、延々に相容れない深い溝が在るのかも知れない。
その為なのか?それまでのルンルン気分だった家の中が、まるでお通夜の様になってしまう。

遂に決断する原節子。
それまで、まるで〔サザエさん〕の様な家庭で在ったのに、あっと言う間に家族が散り散りになる運命が待っている。
この辺りの。小津演出による、観客の脳天にズドンとハンマーを振り落とす手腕は恐ろしい。
しかも、その一気に落ち込んだ心を。家族写真で一瞬の内に引き上げる手腕にも、やはりとんでもない程の恐ろしさを感じない訳にはいかない。

ちょっと前のネットの情報で、小津作品に於けるショットの秒数を数えた人が居たらしい。
特に晩年の作品に関しては。、上映時間を総ショット数で割ると。1ショットの平均秒数が殆ど一致していたらしい。
それが本当だったならば。小津は、1ショットの積み重ねで人間の感情をコントロールする事を考えていた事になるのかも知れない。

【行き組】と【行かず組】との人参問答(『晩春』では大根)を始めとする。多くの楽しい会話のキャッチボールの裏で起こるいざこざや、親夫婦の侘しさ等。
常々、個人的に。小津安二郎とゆう人に対して抱いていたのは…時代が時代ならば、ホラー映画作家になっていたんではないか?…と思う事がたまに在ったのだけど。まさに『麦秋』は、その思いを再確認(勝手にですけど)させてくれる作品でした。

初見 並木座

2019年4月18日 シネマブルースタジオ

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松井の天井直撃ホームラン

3.5戦後日本のスクラップ&ビルドを家族というフィルターを通して描かれて...

2019年3月9日
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鑑賞方法:映画館

戦後日本のスクラップ&ビルドを家族というフィルターを通して描かれている。小津映画でもかなり地味な部類

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ちゆう

4.0・子ども2人が出てくるとわくわくした ・杉村春子があまり目立たない...

2019年3月8日
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・子ども2人が出てくるとわくわくした
・杉村春子があまり目立たないなぁ、おかしいなぁと思ってたけど後半の展開で納得
・自分で結婚を決めた紀子に対する家族の反応が時代を表してる。いや、ひょっとして現代も陰でそういう反応してるのか?

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小鳩組

4.0 一番好きなシーンは原節子と淡島千景が東北弁で会話するところ。後半...

2018年11月12日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 一番好きなシーンは原節子と淡島千景が東北弁で会話するところ。後半になって笑えるシーンがいっぱいでした。

 これは身につまされる内容であった上に母親と一緒にと観てしまった(子供が居たほうが結婚できるのかぁ)。と、何かを言われるんじゃないかと、びくびくしてしまいました。

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kossy

4.0笑顔の裏は?

2018年7月7日
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紀子は本当に矢部が好きで嫁ぐことにしたのだろうか?惚れていた相手に見合いを仲立ちされたところに秋田への転勤が決まった矢部は渡りに船だったのか。自分が独身でいることが家族を繋ぐ鎹に成っていることに気付いていたのか。紀子の笑顔の裏側にある感情は何だったのか。色々と自分にははんだんがつかなかったが、画面の構成や仕草、間の取り方、やり取りの言葉などすべてのがとても印象的。

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komasa

5.0『もののあはれ』の一歩先

2018年6月21日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

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kkmx

3.5良くも悪くも小津映画。 何も起こらないし、役者もみんな一緒です。 ...

2018年3月7日
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良くも悪くも小津映画。
何も起こらないし、役者もみんな一緒です。
でもノスタルジックで何だか心に染み入ります。

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やまぼうし

2.0心に伝わるものは無い

2018年2月25日
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鑑賞方法:映画館

終戦直後の上流階級家庭をユーモアを織り交ぜながらを描いた作品。特に心に伝わるものは無く途中は睡魔にも襲われてzzz…。残念ながらこの作品の良さを感じる事が出来ませんでした。
(午前十時の映画祭にて鑑賞)
2018-43

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隣組

3.5これにて紀子三部作制覇。 相変わらず冒頭から平々凡々の日常生活が描...

2018年1月5日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

これにて紀子三部作制覇。

相変わらず冒頭から平々凡々の日常生活が描かれていく。そして又々定番の嫁にいくのか、いかぬか問題。正直ちょっと食傷ぎみ。その他の事件は起こらぬものか?
来た来たー!子どもがいじけて、なんと食パン蹴っ飛ばしよったで。当然怒られる子ども、えっ、でもそれだけ?こら、フルボッコにせなあかんのちゃう?挙げ句はいじけて帰らぬ子どもを総出で探す家族ばかぶり。ほっとけ!
これが唯一のヤマだった。突如自ら決めた結婚も今ひとつのインパクト。
三部作の最高峰に推す人も多い本作だが、私は見る順に…舞台もキャストもほぼ変わらずでどんどん慣れてしまうからかな。しばらく嫁にいくやらいかぬやらは敬遠しよう(笑)

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はむひろみ

5.0●必見。

2017年5月5日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

笑える

幸せ

萌える

何気ない日常が生き生きと輝く。そこには愛がある。何よりあたたかい。
ボケかかったじいさん。悪さするガキども。年頃の女の子たちのたわいない会話。
自然と笑みがこぼれる。幸せな気持ちになる。

原節子に淡島千景。もう綺麗とか可愛いとかのレベルじゃない。女神だな、ありゃ。
ふたり揃って、憎まれ口をたたくシーンが好きだ。「ねえ」がリフレインする。

ゆったりと時が流れ、小鳥がさえずる。平和だ。ふとした瞬間に入る一コマが本当に美しい。
風船が飛んでくシーンは、白黒なのに、晴れ渡った青い空が実感できる。そこに戦闘機はない。

戦地から帰ってこない者もいて、口ではあきらめたという親父。
昭和の大家族。家族が支え合っていた時代。なんとも清々しい。
ひとつひとつのシーンに、それぞれの人生に、ドラマがある。
杉村春子の一言。息子がいくつになっても変わらぬ親心。骨身にしみたわ。

「麦秋」ってタイトルも、なんとも粋だ。初夏の収穫時。梅雨入り前の短い期間。
人生の最も輝いてる時期を戦争なんかで費やすんじゃないって。そう監督が言ってるようにも聞こえた。

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うり坊033

3.5人生の収穫

2017年4月23日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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everglaze

3.0小津の世界観がよくわかる作品

2017年4月23日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

小津の世界観がよくわかる作品

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tsumumiki

4.0年を重ねてわかる小津の魅力

2016年3月4日
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鑑賞方法:VOD

楽しい

知的

幸せ

若い頃に小津映画を見たとき、正直つまらなかった。淡々としてクールな演出や映像表現が欧米で受けているのかなあとそんな受け取り方をする西洋人の浅薄さのようなものを感じたりして。しかし年を重ねてからこの映画を見ると、日本人の微妙な心のやりとりや美質を、失われつつある日本人の内面的な品性を表現したかった小津の気持ちがよく理解できるようになった。これは傑作であると。同時に見た「晩春」と並び優れた作品である。

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k.mori

4.0小津手法で描かれた戦後間もなくの人間模様

2015年4月21日
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鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

知的

戦後、間もない時期の大家族の暮らす中、縁なく婚期の遅れた娘が近くの知人に嫁ぐまでの人間模様を小津手法で描いた一篇。 やはり、現代風の気の短い人には最後まで集中して鑑賞するのは困難と一般的には思いますが、家族や孫を持つ年齢の立場で観ると、時代回顧と相まって深く感じるものが沢山ありました。当時の時代の雰囲気として、戦争の悲劇も間接的に伝えています。小生もラジオで幼い頃に「尋ね人」を聞いたのを覚えていますが、今の若い人たちにもそういうことがあったということを是非知っておいて欲しいです。いろんな意味で、映画は時代雰囲気の鏡と言えます。

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chakurobee

3.5日本の良き映画

2015年2月22日
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楽しい

幸せ

日本人としてこの映画に出会い、観ることができて良かった。

日本人にある相手への思いやりの気持ちが、会話の節々に感じられる。

家族の中がしっかりと小さな社会として成立してて、尊厳と愛情があるがままに存在し受け入れられている。

穏やかな人物たちに、美しい風景。日常の一場面に過ぎないのだが、その一瞬一瞬に確かなドラマがあり、移り変わる時の流れや、その人その人の心情が見事に描かれてる。

無駄がなく、緊張感を抱かせない、見事な映画。

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人尽天

4.5間宮家の人々

2014年10月6日
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鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

幸せ

この作品の何とも言えない良さは、やはり「一度、観てみてください。」というのが一番かと思います。『晩春』の後の鑑賞になりますが、相も変わらず、古風だけれど、時代を問わない普遍的な美が描かれているように感じました。原節子さんの言葉づかいにも、すっかり耳が慣れ、親近感すら覚えます。印象的なシーンは幾つかありますが、くすっと笑えるのはケーキを夜分食べるシーン。あと、御両親が二人並んで風景を観ながら「今が一番いい時かもしれませんね」と話しているところでしょうか。登場人物の言葉の一語一句に聞き入ってしまう自分がいます。

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sonje