劇場公開日 1951年10月3日

「●必見。」麦秋 うり坊033さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0●必見。

2017年5月5日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

笑える

幸せ

萌える

何気ない日常が生き生きと輝く。そこには愛がある。何よりあたたかい。
ボケかかったじいさん。悪さするガキども。年頃の女の子たちのたわいない会話。
自然と笑みがこぼれる。幸せな気持ちになる。

原節子に淡島千景。もう綺麗とか可愛いとかのレベルじゃない。女神だな、ありゃ。
ふたり揃って、憎まれ口をたたくシーンが好きだ。「ねえ」がリフレインする。

ゆったりと時が流れ、小鳥がさえずる。平和だ。ふとした瞬間に入る一コマが本当に美しい。
風船が飛んでくシーンは、白黒なのに、晴れ渡った青い空が実感できる。そこに戦闘機はない。

戦地から帰ってこない者もいて、口ではあきらめたという親父。
昭和の大家族。家族が支え合っていた時代。なんとも清々しい。
ひとつひとつのシーンに、それぞれの人生に、ドラマがある。
杉村春子の一言。息子がいくつになっても変わらぬ親心。骨身にしみたわ。

「麦秋」ってタイトルも、なんとも粋だ。初夏の収穫時。梅雨入り前の短い期間。
人生の最も輝いてる時期を戦争なんかで費やすんじゃないって。そう監督が言ってるようにも聞こえた。

うり坊033