「眠狂四郎よりずっと魅力的」破戒(1962) La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
眠狂四郎よりずっと魅力的
日本に根強く残る部落差別を120年前に取り上げた島崎藤村の小説の映画化作です。
「炎上」や本作の様な現代劇で見せる不安な表情の雷蔵の方が眠狂四郎より断然魅力的だな。カッチリした構図のモノクロ映像は、画面隅の小道具にまで神経が行き届いているのが伝わり、監督・市川崑/カメラ・宮川一夫のセンスに唸らされました。集中力が高まるシーンで、良く見ないと分からぬほどの非常な微速でカメラが寄って行くのに気付いて、なるほどなぁと感心。
また、今回の雷蔵映像祭中でも多くの作品に出演している藤村志保さん(今年6月逝去)は本作でデビューし、原作の島崎藤村から「藤村」を、役名から「志保」を取って芸名としたと知って驚きました。この作品でも清冽な若さが魅力的です。
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