「若き小学校教諭の苦悩を描く、部落差別をテーマにした明治39年原作の映画。」破戒(1962) M.Joeさんの映画レビュー(感想・評価)
若き小学校教諭の苦悩を描く、部落差別をテーマにした明治39年原作の映画。
島崎藤村の明治39年の長編小説。部落差別をテーマとした映画。小説を最近読んだところだったので、アマゾンプライムの昭和37年の映画を見てみた。「破戒」とは、「いましめを破ること」。主人公の苦悩は自分に課せられたいましめを貫き通せるかにかかっている。
小説はとても感動したが、映画は市川崑監督とあって映像表現や重厚感あふれる演出など違う展開もあったがとても良くできた作品であった。題材はもともと重苦しいものであるが、小説には主人公のいろんな生活や表情、出来事があったが、それに比べ映画はほぼ全編重苦しい雰囲気を強く押し出したものとなっている。最初からそこに重点を置いているのだと思う。
明治の時代は現代とは大きく異なり、部落民を取り扱うこと自体難しかったのではないか。最初は自費出版として公表したと聞く。
部落民というだけですべてを否定し追い出そうとする人々。その中にあっても、それに立ち向かおうとする人、現状をしっかりと受け止めその人を支える人。主人公に希望はあるのか、ないのか。
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