劇場公開日 1962年4月6日

「21世紀に生きる日本人の私達にもダイレクトに関係しているものだったのです」破戒(1962) あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.021世紀に生きる日本人の私達にもダイレクトに関係しているものだったのです

2020年5月26日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

心から感動しました
名作中の名作です

宮川一夫の撮影も惚れ惚れする映像を残しています

1962年公開
物語は明治37年1904年の今の長野県飯山市を舞台にしています
島崎藤村の原作小説は1906年の発行
約60年後の映画化です
そしてその映画公開から約60年が経ちました
116年もの昔の話です

部落差別という重いテーマです
差別問題は21世紀では今や過去の話でしょうか?
今もあると聞きます
それも次第に消え去っていく問題でしょうか?

2020年コロナウイルス禍の最中、コロナ差別と言う言葉が世間を震撼させました
コロナに感染してしまった人やその家族、コロナと戦う医療従事者やその家族などが根拠もなく差別されたのです

私達人間は、すぐ差別を作り出してしまうのかも知れません
これからも新しい差別が生まれるのかも知れないのです

1962年の公開の年
米国では黒人達の公民権運動が盛り上がっていました
本作の劇中での部落差別のエピソードと全く同じことが、米国では黒人や有色人種に対して行われていたのです
アラバマ物語、グリーンブック、デトロイトなどの映画は米国の物語であって、日本人には遠いよその国の物語かと思っていたら、それは間違いだったのです
日本人の私達、21世紀に生きる日本人の私達にもダイレクトに関係しているものだったのです

人種の差別、民族の差別、同じ民族同士での部落差別、男女差別、LGBT差別、はてはコロナ差別

どこが違うのでしょう

強制して無くなるものではありません
声高に糾弾されたら却って怖くなり陰にまわっていくでしょう

人が人に優しく接すること
お互いの個性を敬意もって接すること
そうありたいものです

あき240