PERFECT BLUE パーフェクトブルーのレビュー・感想・評価
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「未麻の部屋」
2010年に46歳という若さで亡くなった今敏監督のデビュー作品。
(キャラ原案・江口寿史先生
企画・大友克洋先生 が参加)
制作のマッドハウスの創業50周年と本作劇場公開25周年を記念し、4Kリマスター版での上映が実現!
喜びに震えながら鑑賞。
3人組B級アイドル「チャム」のメンバーだった未麻は、事務所の方針で1人だけ脱退し女優に転身することになる。
しかし、清純派アイドルの未麻のイメチェンを許せない熱狂的なファンにストーキングされ精神的に追い詰められて行く。
加えて望まない仕事を続けるうちに、未麻自身にも異変が起きていく。
そして彼女の関係者が犠牲となる殺人事件が多発。
そのダメージから現実と虚構の区別がつかなくなっていく。。
というストーリー。
「もう一人の未麻」が見えるようになっていく未麻。
本当の自分と演じている自分との境目が分からなくなっていく過程が本当に恐ろしい。
「あなた、誰なの?」
「私は、未麻」
絶妙なバランスで繋げられるシーン。
ヒャンヒャンヒャンヒャン!
と大袈裟なBGMも不快感全開で、見ているこちらも徐々に追い詰められる。
嫌でも未麻の恐怖体験を共有することになる。
デパートの屋上でのこじんまりとしたステージ。
いかにもB級アイドルがコンサートをしていそうなシーン。
それに反してオタク語を話し、月でも撮るのか?一眼レフで狙う熱狂的なファン達が押しかけているその対比。
そして、日曜日にファミリーが戦隊ショーを見に来る場所でもある、そことのミスマッチも心がざわつくポイントだ。
しかし、ひと昔前なら割と見かけた光景。設定がリアルで生々しさが増す。
そして楽曲が本当に素晴らしい!
チャム「愛の天使」
2人ver「一人でも平気」
大ヒットはしないだろうと誰でもわかる「絶妙に売れない感」が抜群の楽曲!!
(振り付けも最高!)
そんなリアルさが完璧過ぎて、未麻に起きている事が、現実なのか幻覚なのかわからなくさせている。
あのお気楽な楽曲を流しながら、錯乱する未麻を描くパートは悍ましすぎる。。
未麻の芝居も完璧!
あの声のトーンと話し方。
「ルミちゃん」可愛らしい少女のようであるし、とても怖くも聞こえる。
ラストはもう殴られた様な衝撃!
まさかの真相!!いや、これも夢?!
ストーカーが?!ルミが?!
未麻が?!!
女優として成功を収めた未麻。全てが彼女の仕業だったら?と考えて背筋が凍りました。。
本作はアニメーションでしか表現出来ない世界がある事を証明した作品だったと思います。
これを実写で撮ったらと考えてみて下さい。
安っぽサスペンスに成り下がってしまいます。
アニメーションの可能性を存分に知らしめてくれた傑作です!
神がかっている!
もう今監督の新作が観られないのだと思うと、とても悲しく残念でなりません。
ビビって観るのを躊躇していた
グロは基本ダメなので、あらすじを読んでから視聴w
グロはダメな人でも耐えられるレベル
目をアイスピックで指すのが一番エグいだろうが、あのシーンは美しさを感じた
実像、虚像、偶像、増殖する自己
現実の自分「実像」と理想の自分「虚像」の間で揺れ動く主人公の姿が描かれていた。
主人公は、アイドル(=偶像)で、ファンが見たい自分を魅せている職業。ファンが勝手に理想像を作り上げてしまうから、いつのまにかそこにその人本人は抜け落ちてしまって、実体のないイメージだけのものになってしまう。
普段は電車で通うし、スーパーで買い物するし、アイドルの自分とアイドルではない普通の人間の自分がいて、自分の像が2つ存在していて、入れ替わりながら生活している。
主人公は女優に転身する。女優はいろんな役を演じるから、自分の像は役の数だけ増えていくことになる。ネットの中で増殖していく自分と重なる。自分じゃない人が、自分を装ってホームページを更新する。主人公はそれを読んで「私、今日原宿行ってたんだ」と徐々に現実とフィクションの境界を失っていき、現実を生きているのか、夢の世界を彷徨っているのか、現実の世界でドラマの役を演じているのかわからなくなっていく。
アイドルの自分が乖離して自分から遠く逃げ去っていく幻想、反対に、アイドルの自分に追いつめられる幻想、割れた鏡に増殖して映る複数の自己、自分の影の部分が映る鏡の中の自己。すべてが物語とリンクして、自分を見失っていく様が重層的に描かれている。
主人公の視点で描かれていて、その主人公は自己を見失っているので、この物語は「信頼できない語り手」の系譜の物語。結局、殺人事件や、精神の不安定さが、どこまでがほんとうに起きたことで、どこまでが夢の世界で、どこまでがドラマの世界なのかを確定するのは不可能である。
哲学者デカルトの「我思う、故に我あり」という言葉がある。この物語の最後の主人公の言葉「私は、本当の私よ」はこれと同義であるように思った。「私」が「或る私」を「それは私である」と認識できる時に、私は、「本当の私」になる。実像と虚像の間で悩み、揺れ続けた「私」が自己を再確立する、というのが、パーフェクトブルーの大きなテーマであろう。
現在の私たちは、ネットの中の私・社会的な私・素の私を使い分けることが容易になっていると思う。Twitterでは病みツイートしていても、Instagramではキラキラ投稿をする。アイドルだって恋愛するし、ファンはSNSで日常が覗ける。複数の私を認識できるし、使い分けできる。
でも、この「PERFECT BLUE」という作品はインターネットが普及した初期段階のお話。自分の像はひとつであることが当たり前の時代だったのではないかと思う。だから、増えていく自分の像を簡単には受け入れられない。アイドルも本気で排便しないと思われていた時代だったのだから。1990年代の人間の心情を、インターネットの台頭という時代背景を的確に捉えて描いた、この時代だからこそ生まれた傑作であると思う。
現実感の喪失
最近色々とアニメを観るようになったので、何故か海外でも評価が高い今敏監督の「パーフェクトブルー」を鑑賞してみました。えーと、率直に言うと「気持ち悪っ‼️」。
ドルオタのストーカーの描写が怖いんですよね。ホントにこんな感じ?ってか(失礼ながら)監督にはストーカー経験あるんじゃなかろか?っと思えるぐらい気持ち悪かったです。幸いストーカーの知り合いはいない(と思う)のですが、リアルであんな感じなのでしょうか?ヤベェな、ストーカー。
で、もう何処から現実で何処から妄想かわからない作りは観てる方もおかしくなっちゃいそうでした。blu-rayの特典に付いてたインタビューで今監督が「現実感の喪失を描いた」というような事を言っていたのですが、見事に監督の目指していた作品に作られてる感じです。見終わった後にゾワゾワする物が残ります。
結局ミマの関係者ほぼほぼ殺されますし、ミマもちょっと大丈夫かどうか怪しいエンディングだったのですが、20年以上前の作品にもかかわらず今観てもなかなかインパクトのある作品でした。当時から日本のアニメってスゴかったんですね。
なんだこの映画は・・・
ストーリーは理解できるが、細々した設定が多く一回見ただけでは理解できないかもしれない映画。
理解できなかった自分は見終わった後にネットのネタバレを見つつ、さらに作品の重要なシーンを見てようやく理解できた。
それでもどこか違和感が残る作品である。
それにしても最後、鏡を見ながら「私は女優よ」というシーン。みまの実際の毛色と鏡の中のみまの毛色が違うのはなぜなのだろう。
吐きそう。
全員死んでくれて良かった。つらすぎた。
途中でもう見てらんないくらいつらかったけど、劇場だったから、立てないのつらかった。
主人公が綺麗で良かった。
皆、きっと誰にも上手く説明出来ない事を抱えても、生きていくんだと思った。
主人公が生きてて良かった。
しんどくても、じぶんなりに生きていこう。って思った。
無様に駆けずり回っているからって現実とは限らない
今敏監督没後10年の節目に「ソレイユ」が特集を組んでいます、いい機会なので見返してみる
いやー、やっぱり色褪せないてすね、普通のサスペンスなら話の筋や真犯人が分かっていてればドキドキはしないものですが、主人公の未麻が精神的に追い詰められて段々と自分の演じている役と実生活が混じりあいあやふやになっていく過程の演出が恐ろしく手に汗を握りました
今監督の作品は一貫して“虚が現実を侵食する”ことをテーマに扱っている、この作品では鏡を効果的に使ってそれを表している
当たり前だがアニメは実写とは違い絵に描かなければ存在しない、冒頭の楽屋の鏡だけでなく普通は描写をはぶくような電車の窓ガラスに映る虚像まで丁寧に描写して、さりげなく日常シーンにもう一人の自分を散りばめている
未麻の精神が不安定になるにつれ、鏡の中のアイドル・未麻が私こそが本物だと暴走をはじめる、このあたりから作品内のドラマのシーンに現実の人物が嵌め込まれたり、その逆があったりと時系列が追いづらくなる
そしてクライマックス、事件の黒幕がマネージャーのルミだとわかるシーンでは鏡の中に映るのが太った体をアイドル衣装に押し込んだルミで涼やかな笑みと重力を感じさせないスキップで夜の街を飛び回るのがアイドル・未麻という逆転が起きる
最後の病院のシーンでは鏡に話かける虚像に囚われてしまったルミ=ミマと女優として成功している未麻の対照的な結果に
この話は主人公がアイドル=押し付けられた虚像から女優=本当の自己になるアイデンティティ獲得とか、成長物語だと思う人がいるらしい
でも、本当にそうだろうか
もしそうならどうしてラストで「私は本物だよ」と言ったのがバックミラー、鏡の中の未麻だったのか、第一女優=現実の自分なんて皮肉すぎない?
不思議なシーンはもう一つ、暴走をはじめた虚像未麻が「もう一度アイドルとして二人と歌う」といってもといたアイドルグループのライブに乱入するシーン
明らかに二人に未麻が見えている様子なのがおかしい、あの場にはルミもいたので扮装したルミだった可能性も無いわけではないけれど、それならもっと大事になってるだろうし、他の二人が困惑顔をしつつも踊り続けているのは変な気がする、まあこの辺の解釈はひとそれぞれかな
「この映画は未麻視点だから虚像未麻は幻覚、最後だけ視点がルミに移った」というある意味分かりやすい構造でも充分見られるけどどうにも釈然としない、もやもやとした気味の悪さを残す所が素晴らしいと思う
鏡の外側が虚構でないとは言い切れない不気味さは実写のように緻密に描き込まれたアニメーションならではかもしれない
三十路の時
今のように映画なんて見向きもしなかった時代の上映だったので、存じ上げていなかった作品。アニメ系映画サイトで、ちょいちょいキーワードが流れ、去年、確かユジク阿佐ヶ谷で掛かったのではないかと記憶している。結局鑑賞することがなかったで、改めてDVDで。
この時代に、テレビアニメや漫画から派生した作品ではなく、小説からのアレンジ作が存在したことに驚く。そしてその入れ籠構造的な複雑なプロットを表現した内容にも驚いた。こんな作品がもう90年代にはあったという事実に。
サイコホラーでのジャンル映画であり、確かにアニメで表現したことは正解だと思う。実写では再現できない難しい演出や、日本での規制が厳しく、自由が担保されない状態では、こうしてアニメ-ションとしての形は有意義なのだろう。例えば、目をくり貫かれた死体、裸体、アンダーヘアー・・・ 枕営業こそ登場していなかったが、そんな芸能界の裏事情もストーリーの裏にはあるのかもしれないと思わせる虚構に満ちた世界をリアルに描いている。
ストーリーも、サスペンス要素をふんだんに織込み、ラストの種明かしも、きちんと感情移入できる力を持っていた。
19年経ち、今ではCGやVFXで如何様にもこねくり回せるが、世界観やストーリーテリングの妙といった目に見えない雰囲気的な表現は、昔の方がより力強さを感じると思える作品だ。今敏という監督は若くして夭逝されたということだが、伊藤計画にせよ、天才という人達のその己の命を削るプロダクトは改めて敬服を感じざるを得ない。
余談だが、先に『パプリカ』を観てしまったのだが、順番は、今作品を先に観た方が良い。時代に沿った順番は、やはり自然だ。
ちなみに、故監督のサイトには、今作品の追憶が載っており、アニメ映画制作の裏話を充分堪能できる。確かに能力の高い人達のプロフェッショナルな仕事ぶりに驚嘆させられこと請け合いである。
アニメを好きでいて良かった
5年くらい前に初めて見ましたが、改めてアニメって凄いと思いました。
メインの話と劇中劇が入り交じって展開されますが、その際の画面の切り替え方は、実写で同じことをしてしまうと滑稽になってしまうアニメならではの長所です。
偽ミマが出たり消えたり、鏡に本当の姿が写されるのも然り。
オチはついてますが、果たして壁面どおりなのか、マネージャーが犯人だということも含めてミマが無意識下で仕立てあげたのでは?と、見終わった後も考えさせられます。
しばらく頭から離れなくなる作品
今年になって初めてみたこの作品、見終わってまず思ったのは、
一体どのくらいたくさんの人が、今までこの映画に影響を受けてきたのだろうか…ということです。
まず、1998年の映画ということが信じられません。
AKIRAやGHOST IN THE SHELLを見ていても思うのですが、
過去のアニメ映画ってすごい、の一言です。
映像もさることながら、音楽や物語が圧倒的。
見終わったあとも何か思うことがあるからでしょうか、良い後味がずっとある感覚に久しぶりになりました。
夢か現実かがわからなくなり、
誰が誰を殺したのかわからない。
一応犯人は作品の中で明らかにされていますが、それも本当なのか。
見終わったあとも答えが出ているような出ていないような、
もしかしたら主人公も人を殺した?と、
最後まで、見終わったあとでさえ主人公を疑ってしまう不思議な映画です。
作品中のレイプシーンは見ていて辛かったです…アイドルのシーンとの対比が大きすぎて。
主人公も仕事だから、と納得、覚悟しているのがさらに見ていて辛い。
マネージャーが見ていられず席を立つのもわかります。
ほかの映画とかを見ていて、暴力的シーンは全然平気なのに、あのストリップ劇場でのシーンはなぜか心えぐられました。
「心の準備ができているうえでの暴力」って、日常生活ではありえないので強烈だったのかもしれないです。たとえそれが演技でも。
ただの暴力なら、なんで!とか許せない!とか怒りの感情を素直に出せますが、この映画でのどうしようもなさ…
逃げ場がないですよね…
結局は女優として成功をおさめているようなので、あの性を売り物にした一連の仕事も報われたとも思えるのですが…
マネージャーがサイコでいかれていた、と言うとそれだけで片付けられますが、
劇中のドラマの流れとかを見ているとそれだけじゃ表せない何かがあるような気がしてきます。
みまの強い感情が源氏物語の六条みたいに、ほんとに生霊として
マネージャーにのりうつったのかもしれないですし、
アイドルとして中途半端な結果をしか出せなかった、アイドル時代のみまが、よりしろとしてマネージャーを選んだ…など
どんどん妄想がふくらんでいく…!
でも、明確な答えはあるようでない。
最後のシーンのみまが鏡に向かって微笑んで言う、「私は私だよ」というのが重要な鍵のような気もしますが…
また、繰り返し作中で出てくる「あなた、誰なの」という言葉も印象的です。
鏡に自分が映る瞬間、というのはけっこうこの映画の中で大きな役割を果たしていたような。
結局、人って鏡なり映像なり、何かに写っている自分でしか自分を確認できないところってありますものね…
最後マネージャーが狂乱したのも、鏡に自分の姿が写った瞬間でした。
みまが自分を取り戻せたのも、あの時、鏡にうつった自分をみたからなのかな、と。
あの瞬間からずっと主人公を惑わせてきたアイドル時代のみまも、
昔の美しい姿ではなくなり、見るに耐えない姿になりましたし…
この最後まで謎が残る感覚が、この映画の魅力なんじゃないかな、と。
見る人によって100の解釈がありそうです。
今監督の映画作品では、この作品が一番好きです。
夢か現実か混乱するのが魅力的
最初はそうでもないかな?期待外れ?と思いつつ観進めていくと、どんどん混乱する展開になってきてドキドキした。
しかし、終盤の「新人女優のミマと思い込んでいて、ドラマに出てると思ってる」ってオチがわたし的には一番の理想だった。
なぜなら、ルミが真犯人というのが予想できてしまっていたから…。
この手の映画好きな人ならオチが読めちゃう人も少なからずいるかなー?と。
それでもほんとに面白いストーリーで、話題になるのは文句なしに頷ける作品でした!!
イライラ
随分昔の作品ですが、TSUTAYAでイチオシされていたのでレンタルしました。
評価は…う〜ん……。
【これは現実?それとも夢?】的な話は好きではないので、見ててイライラしました😒
ストーカーの脅威によるホラーサスペンス物のような店頭の煽り文句だったので借りたのですが、正直期待はずれでした。
好きな人は好きだと思います。
落ちも微妙でした。
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