「観客を迷宮に誘う名作」PERFECT BLUE パーフェクトブルー 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
観客を迷宮に誘う名作
クリックして本文を読む
以前から観たかった作品で、数か月前に配信で観たのですが、ヒューマントラストシネマ渋谷で限定上映をしていたのを知り劇場で鑑賞して来ました。
3人組のアイドルグループ「CHAM」の一員であった未麻が、グループを卒業して女優として独り立ちしていく過程で発生した連続殺人と、未麻の葛藤や彼女の周辺で発生する奇怪な現象をミックスし、さらには夢と現実、さらには劇中ドラマのシーンを巧みに重ね合わせることで、観客を迷宮の中に放り出すかのようなダイナミックな展開が非常に魅力的な作品でした。
見所は未麻の心的描写でした。CHAMを卒業することに対する迷いをはじめ、女優としてドラマでレイプシーンをやったり、ヌード写真を撮影したりするなど、アイドルと女優のギャップに直面する苦悩、そして熱狂的ファンがストーカーになっている状況に対する恐怖、さらにはそうした状況が生む自分の分身の幻影に苦しめられる悪夢を見せつつ、現実の世界で発生する連続殺人の恐怖を重ねることで、虚構と現実をボーダレスに行き交う展開は、まさに今敏ワールド全開でした。
そして結局は元アイドルだったマネージャーのルミが、自分が諦めたアイドルの夢を未麻に仮託したことが一連の奇怪な事件の原因であるというストーリー展開も面白く、やはり劇場で鑑賞して正解だったと思った次第です。
そんな訳で、本作の評価は★4.8とします。
コメントする