劇場公開日 1998年2月28日

「四半世紀の間の映画と僕の変化」PERFECT BLUE パーフェクトブルー La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)

四半世紀の間の映画と僕の変化

2024年9月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 先だって観た、今は亡き今敏監督の『千年女優』(2002) が素晴らしかったので、同じ今敏作のリバイバル上映に駆け付けました。これは監督の長編デビューとなった作品です。アイドルグループを抜けて俳優になろうとする女性の周りで起きる不気味な事件を巡るホラー・ミステリー。『千年女優』と同様に現実と妄想の間の境が崩れ、観る者を困惑の中に引きずり込みます。

 う~ん、中盤から、物語の大筋とは直接関係のない所で僕は突然立ち止まってしまいました。

 昔から残酷場面は平気で、今も昔もスプラッター・ムービーは平常心で観る事が出来ます。その一方で、近頃すっかり鑑賞不能になって来たのが性暴力場面です。近年のコンプライアンス意識の高まりとは恐らく別に、自分の中の何かが変化してそうした場面を直視できなくなって来ました。そして、本作ではアニメでありながら生々しい性暴力場面が描かれ、僕はたちまち胸クソが悪くなってしまいました。四半世紀前ならば、こうした描写にも問題意識はなかったのでしょうね。

 でも、この作品自体はドロドロしつつ強いエネルギーに満たされています。胸クソ悪いのでもう一度観る気はないけれど、近年のお子様ライス的アニメにはない力に満ち溢れているのは確かです。僕はこれをどう受け取ればいいのでしょう。僕らはそうした課題を抱えた時代を生きているのです。

La Strada