「至宝の名作」野菊の如き君なりき(1955) odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
至宝の名作
幼いころ、隣席の母親から「おまえはおませだね」と言われて意味が判らなかった、初めて泣いた映画である。
渡し船に乗る老人(笠智衆)の回想シーンから物語が始まる。いつも読んでもらっていた昔話の「昔々、あるところに・・・」で始まるような導入部は違和感なく子供の心に響いたのであろう。もとより恋愛感情など判る筈もなく泣いたのは大切な人を失うというショックの方だったと思う。リメイクもされた悲恋物の名作だが、人間を描かせたら天下一品の木下恵介監督の脂ののった時期の作品、余人を以って代えがたい。
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