眠狂四郎女妖剣のレビュー・感想・評価
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平気で斬れる!…無頼の徒さ。
WOWOWの市川雷蔵没後50年「眠狂四郎」全12作品一挙放送…で観賞。
シリーズ第4作。
監督4番手は、池広一夫。
この時期の大映は「座頭市」というモンスターシリーズを抱えていて、監督やスタッフたちはこの二つの時代劇シリーズを交代交代で年に何本も撮っている。
更に現代劇も撮ったりしながら。
そして、本作は初めてその「座頭市」と併映で公開されている。
4本目にして、最も狂気じみた内容だと思う。
狂四郎の出生の秘密が語られること、円月殺法にストロボ撮影を用いたことで、シリーズにおいてエポックメイキングな作品ではある。
どうやら、シリーズの興業成績はあまり良くはなかったらしく、本作はシリーズの存続をかけた起死回生の一作だったようだ。
狂四郎は前作までのように誰かに肩入れして助けようとする訳ではなく、キリシタン尼僧・ビルゼン志摩(久保菜穂子)が自分と血の繋がりがあると聞いて興味を持っただけだ。
そして、志摩が隠れる地へと向かう狂四郎に、エロ仕掛けの刺客が次から次と襲いかかるという仕組み。
ほとんどエロ時代小説である原作のコンセプトに立ち返って、必然性などないエロチックな場面が展開する。
ストーリーも登場人物も説得力など皆無だ。
清純派女優・藤村志保を脱がしてまで徹底して貫いたコンセプトは、結果としてシリーズがこの後も続いているのだからは目的を達成したのだろう。
宿敵・陳孫(城健三朗=若山富三郎)がゲスト出演。彼との戦いをここで決着させられないのは解るが、ちょっとよく分からない終わらせ方だった。
藤村志保が脱いでまで挑んだバテレン宣教師のエピソードから、久保菜穂子の色仕掛けと狂四郎が戦うラストまで、お色気シーンのための無茶苦茶なアイディアの連発。
特に、将軍家斉の娘・菊姫(毛利郁子)の乱行はクレージーなうえにストーリーに何の関係もない。
菊姫が狂四郎を所望するのなど、唐突にも程がある。
更に、狂四郎を寝屋に招いた菊姫の悦楽の声を襖の外で聞いている侍女が、体のうずきに我慢できなくなるシーンなど、その後の展開にもなんら作用しないのだから、呆れる。
技法的には、ストロボ撮影に加えてスローモーションを用いるなど、工夫があった。
当時の一般映画だから、お色気シーンといっても背中や太腿を色っぽく見せるだけだが、そんな制約のなかで最大限にエロチシズムを醸し出しているのは、大したものだ。
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