劇場公開日 1956年10月9日

「とかくこの世は生きにくいといったようなお話」猫と庄造と二人のをんな pekeさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 とかくこの世は生きにくいといったようなお話

2025年12月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

京都文化博物館フィルムシアター「生誕100年記念 作曲家・芥川也寸志の映画音楽世界」で鑑賞(フィルム上映)。

原作は谷崎潤一郎。
僕が住んでいる阪神間が舞台ということもあって、以前から気になっていた作品。
飼い猫を溺愛するダメ男の主人公と、その二人の妻、そして計算高い姑が中心となって繰りひろげる悲喜劇、とかくこの世は生きにくいといったようなお話です。

いきいきとした関西弁のリズムが愉快で、テンポの良いセリフはまるで落語を聴いているようだった。
ユーモアに溢れているけれど、なにせ諍いの場面が多いし、ストーリー自体それほど面白いというわけではないから、後半は観ていてちょっとダレてしまった。もう少し短くしてもよいのでは、と思った。

大むかしのフィルムなので、状態がわるく、セリフもかなり聞きとりにくいところが多数あったが、当時の暮らしや、意外にも今よりもはじけているのではと思われる遊びの様子などが窺い知れて興味ぶかかった。それから現代の眼で見ると、動物虐待だとクレームがつきそうなシーンなんかもあるけれど、そこはご愛嬌、時代の隔たりを感じさせられた。谷崎らしく(?)エッチな場面も。脚を撫で撫でするだけのおとなしい描写だけど、妙に艶かしく官能的であった。

それにしても、庄造は忍耐強いなぁ。ほんまに。

peke