「宙を舞うストウハ」人間の証明 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
宙を舞うストウハ
角川映画・証明シリーズ第1作。
DVD(デジタル・リマスター版)で鑑賞。
原作(角川文庫・新装版)は既読。
原作に概ね忠実に映像化されていると思いました。ニューヨークでのカー・チェイス・シーンは原作にはありませんが、角川映画らしい無駄な大作感が感じられて大満足でした。
因果は巡る展開が秀逸でした。森村誠一作品らしい、一見別別の出来事と思われていた物事がひとつに収斂していくストーリーにドキドキ。思わぬ伏線にハッとさせられました。
ジョニー・ヘイワードと母親の物語がとにかく哀切極まりない。母と子の情愛の不可思議さを感じました。消し去りたい過去と現在の栄光を天秤に掛けて、過去を抹消すると云う決断を下した母。鬼畜の所業と云われても仕方がありませんが、しかしそこには厳然とした母性が存在しており、一筋縄では括れない人間の機微が隠されているように思いました。
瞼の母と慕い続けていた存在に再会したのも束の間、その胸にナイフを突き立てられたジョニー。その時彼の心に去来したものを考えると、とても胸が締めつけられました。母親に裏切られても尚思慕にしがみつきたかったがために、思い出のストウハに似たホテルの最上階へと足を向けたなんて…
八杉恭子の放った麦わら帽子が宙を舞う。帽子と共に自らも崖下に身を投げた彼女の心情は如何ばかりでしょうか?
印象深く、哀切極まりないラスト・シーンでした。
[以降の鑑賞記録]
2023/07/25:アマプラ(シネマコレクション by KADOKAWA)
※リライト(2020/07/31)
※修正(2024/06/07)
コメントありがとうございます。
西條八十詩集の引用は原作にもあるものですし、母への思慕を掻き立てる重要な要素として個人的にはかなり好きです。
森村誠一氏の突然の訃報には本当に驚きました。ご冥福を心よりお祈り申し上げる次第です。
不思議な作品ですね。公開当時は大騒ぎで満員御礼立ち見だったはずが、歴史に埋もれてしまいました。
むしろ 高倉健 薬師丸ひろ子の【野生の証明】や【戦国自衛隊】の方が今でも引用されます。レビュー無し
思うに エッジが効いていない と言うか 昭和すぎるのです。もう最初からストーリーがバレバレで、
西条八十さんからの引用が古臭くて 合言葉といい 洗練されていない 点で厳しいカモですね。
おっしゃるとおり 名作で哀切 無駄な大作感なのですが
最近 配信で 両作 人間or野生 見比べたのですが
野生の証明の方がエッジが効いていて洗練されているように思いました。
森村誠一さんお亡くなりになりましたが稀代のストーリーテラーでした 惜しい、哀悼の誠を捧げます。
コレほどヒットしてコレほど忘れ去られた映画も珍しい。まだ昭和50年代青年世代、社会的には現役ですから
あっ❗️私は小学生で 家族👪友人で映画行きましたが 宇宙戦艦ヤマト観ました。母姉は本作です。