劇場公開日 1959年1月15日

「日本人が本作を観て過去の反省を活かすならば、今この瞬間のヒューマニズムを見失わないようにしなければならない」人間の條件 第1・2部 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0日本人が本作を観て過去の反省を活かすならば、今この瞬間のヒューマニズムを見失わないようにしなければならない

2019年10月19日
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鑑賞方法:DVD/BD

映画としての出来映えは素晴らしい
撮影、演出、美術、豪華俳優陣の熱演
どれもこれも文句のつけ様はない

本作の舞台は太平洋戦争の末期の満州
あれから75年近く時は流れた

21世紀の現代では皮肉なことに中国人自身が、ウイグル人や少数民族、政治犯や法輪功などの宗教人をこのような収容所に閉じ込め、この映画以上の苛烈なことをなしているのだ
八路すなわち中国共産党がそれを自らしているのだ
それほどまでに時は流れたのだ

ヒューマニズムを見失わないことが人間の條件なのだ
この言葉は21世紀の今では、中国自身にこそ向けられるべき言葉だ

日本人が本作を観て過去の反省を活かすならば、今この瞬間のヒューマニズムを見失わないようにしなければならない
中国の逆コースの現実を見てみないふりをすること
中国のこのような不都合な姿を擁護するようなことこそ、本作の反省を活かしていないと言うべきだ

香港の若者達の姿は本作の収容所の特殊工人に重なって見えるはずだ

収容所の中国人のリーダーの王、もちろん中国共産党員だろう
彼は梶にこういう
人間は誰しも間違いは誰しもある、しかし決定的な瞬間の誤謬は犯罪だと
傍観していることは人道主義の仮面を被った殺人狂の仲間になることだと

恐ろしい皮肉だ

あき240