人間魚雷出撃すのレビュー・感想・評価
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潜水艦内のセットが見事
神風特攻隊と並ぶ非人道的な人間兵器、回天魚雷を描いた作品だ。本作は、アメリカの戦後軍事裁判のシーンから始まるのだが、回天魚雷と載せて潜水艦、伊58号の艦長の証言から証言台に立っている。その後、米国メディアに囲まれ、伊58が撃沈した船が、原発を運んだインディアナポリス号であったことへの質問がある。もしインディアナポリス号の往路で撃沈できていたら、広島と長崎の被害はなかったかもしれない、と観客に思わせる。しかし、本作は人の命を武器として使う回天魚雷を題材にしている。一方に無辜の市民の大勢の命があり、もう一方には命を武器にさせられた若者がいるという構図を見せる。どちらも悲劇的で、責任者は常に命の選択を迫られていた。
潜水艦内のセットのリアリティが素晴らしい。絶妙に狭苦しく、酸素欠乏の時の対処法など、なかなか他の映画で描かれないような描写がある。全編、淡々と描写しているのがかえって生々しさを感じさせる。
肩の力を抜いて観る娯楽映画でした。
前回鑑賞の『硫黄島』の流れで、今度こそモノクロの戦争残酷物語系を観たくてチョイスでした。
ところが、これがどっこい、戦争の悲惨さだとか、不条理さだとか、悲哀だとか、そういうのは一切なしの作品でした。
まるで戦時下のプロパガンダ映画のように、ストーリーやキャラクターが、美化されて描かれていたです。
あたら若い命を散らせるカットでも、悲壮感はまるで感じられませんでした。
むしろ、それがカッコいいという風な描写でした。
観たかったのはコレジャナイ!
「本当は死にたくないのに、死にに行く」みたいな悲しさだとか、惨たらしさを期待していたのに。
ストーリーも特にひねりや意外性や感動はなしでした。私はごくありふれた風の平坦に感じました。
石原裕次郎始め、おのおのの俳優さんの活躍?が美化されて描かれていたです。
オープニングクレジットの出演者を見てみると、お馴染みの俳優さんが、ずらりと並んでいたです。
西村晃、岡田真澄、高品格、津川正彦 等、あまりにも当然のことなのですが、みなさんお若いのなんの。
そのお姿を拝見できただけで☆1個です。+☆1個は、特撮にです。お話しとしては☆0.5個なぁ。
映像の迫力は、それなりにありました。
当時としてはかなりがんばったであろう特撮と、操舵室/魚雷装填室?の描写のカットの構図が大変よかったです。(あくまでも当時の技術的にですが…)
あと、あれはもしかすると記録映像だったかもしれませんが、そのカットの使い方も見ごたえがありました。
これは肩の力を抜いて、娯楽映画として観る映画なんだろうな…と思った次第です。
米巡洋艦インディアナポリスを撃沈した、イ58の乗組員の行動や会話の映画
1.潜水艦の中を見ると → 狭さ、雰囲気、用語が懐かしい
2.楽しい映画ではない
3.80分の出撃は、少し泣ける
4.インディアナポリスの説明=乗員1199名
①1945.7.26、原爆をテニアン島へ運んだ→後日、広島・長崎投下
②1945.7.30、深夜00:30頃、イ58の魚雷により沈没
③極秘任務の為、護衛の駆逐艦なし → 沈没も発見も遅れた
④救命ボート13隻=ボートに乗れない乗員は、淵に掴まる
⑤約5日間の漂流中、体力消耗や、鮫の襲撃で死者が発生
⑥生存者は、当初、約900名いた → 8/2=哨戒機が初めて発見
⑦その後も救出作業継続し、救出完了時の生存者は316名
⑧「米海軍最悪の惨劇」と、表現されることもある
5.マクベイ艦長の説明
①1945.12月、マクベイ艦長は、
「ジグザグ航行しなかった」ので軍法会議 → 有罪
②米軍は、大戦中、約700隻の艦艇を失ったが、
撃沈されて軍法会議は、マクベイ艦長のみ
③判決後、海軍長官へ寛大な処置の嘆願があり、長官は承認
④1946.2.23、ニミッツ作戦部長により判決撤回、艦長は、無罪となる
⑤艦長は、遺族からの非難等が続いた為、1968.11.6拳銃自殺
⑥1990年代後半から、マクベイ艦長の名誉回復活動が始まった
⑦攻撃したイ58の橋本艦長も、名誉回復活動に参加
⑧1999.11月、橋本艦長が米議員に嘆願文書を送る
⑨米議会で、マクベイ艦長の汚名返上の決議採択
⑩2000.10.30、クリントン大統領が署名
→ マクベイ艦長の名誉回復
⑪なお、橋本艦長は、(大統領署名の5日前)2000.10.25死亡
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