「理想の父、家庭を追求してきた結果、家庭や職場に居場所がなくなってし...」アメリカン・ビューティー kksadaさんの映画レビュー(感想・評価)
理想の父、家庭を追求してきた結果、家庭や職場に居場所がなくなってし...
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理想の父、家庭を追求してきた結果、家庭や職場に居場所がなくなってしまった父親、上昇志向が強くアメリカ的成功を追い求める母親、そんな両親を信用できずに自分の人生を模索している娘の家庭を通してアメリカの美しいものは何かを問いかける映画かなと感じました。
すでに家庭は冷え切っている家族が「理想的」とされるものの追求をやめ、自分の心に正直になった時、それがマリファナ吸ったり、不倫したりとそれ自体褒められたものではないにしても、それによってどんどん生き生きしてくる過程は見ていてスッとするものがあります。
それはレスター、キャロリンの表情、言葉、態度などからも伝わってきます。
そしてレスターが死ぬ直前の見せる表情は本当に幸せを噛みしめる父親の表情を浮かべているのはとても印象的でした。
息をひきとるその一瞬に人生を回顧するレスターのセリフは「アメリカンビューティー」の意味を伝えているように思います。
彼の人生が美しいものに囲まれていたこと、そしてそれを自分自身が消化できていなかったこと。しかし最後はその「美しいもの」に囲まれていた人生に感謝できたこと。
その「美しいもの」をジェーンやキャロリンが理解できなかったとしても「いつか理解できるよ」と言うセリフの後息をひきとるのですが、それまで心を通わせることのできなかった2人への愛情がこのセリフに込められていてとても心温まるものでした。
悲劇で終わる物語を同時に心温まるものにしているとても素晴らしい映画だと思います。
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