喜劇 にっぽんのお婆あちゃんのレビュー・感想・評価
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何時の時代も老いは残酷
喜劇・・・の題名が最高の皮肉
奇しくも放映された年と日付は私の誕生日、気になって観に行ったがこれは久々の掘り出し物、今の老人問題が62年前には始まって何の進歩も無いように感じるのが辛い、劇中若者にからかわれた老人が叫ぶ「お前らだって年をとる」は最近どこかで聴いたセリフ、何も変わってはいないしかし主演した北林谷栄のメイク、動きは老人そののもの夜目が悪く不自由な様子はリアル過ぎて感動してしまった名優此処に有り。
老人ホームを抜け出した沢田くみ(北林)はどら焼きを盗んだと疑われたためだった!?
橋幸夫の“木曽ぶし三度笠”も全編通じて意味を成してくる。なぜこれが「喜劇」なの?とずっと疑問に思いつつ観ていたが、山本伸也氏の解説により理解できた。全然笑えないどころか、高齢化社会の歪みなど、シニカルに描いたところが多いのだ。強烈なブラックユーモアもあった。自殺を考えてるくみとサト(ミヤコ)が道路に飛び出して車にひかれようと考えた直後の出来事で、昼間に仲良く語り合っていた化粧品セールスマンの木村功が車に撥ねられて即死だった場面。人間の命なんてわからないもの・・・当時はまだ“交通戦争”と呼ばれていた時代でもあり、日常茶飯事だったことなのだろう。
サトの息子(渡辺文雄)夫婦がサトの持っていた金20万円を使い切っていたこともかなり強烈な風刺。今で言えば100万円くらいだろう。
北林谷栄×ミヤコ蝶々!
今井正監督・水木洋子脚本による1962年の作品。
高齢化社会問題を題材にしたブラック・コメディ。
当時は高度経済成長期。戦後から復興し、日本が前向きに明るく輝いていた時代。そんな時代に、将来日本が高齢化社会になると誰が予期しただろう。時代を先見した鋭い視点が素晴らしい。
主人公は二人の老婆。一人は老人ホームを抜け出し、もう一人は家の中に居場所が無い。二人が出会って、町をさまよう。
老いた者は社会の隅っこに追いやられ、のけ者扱い。社会の冷たい仕打ちは昔も今も変わらない。
二人のとぼけた味わいはコミカルだが、二人が置かれる現状は皮肉たっぷり、チクリと風刺する。
主演は北林谷栄とミヤコ蝶々。撮影時まだ初老前。強烈!
老人役の第一任者が多数顔を揃えた他、十朱幸代、市原悦子が若い!寅さん前の渥美清も出演。活気溢れる浅草の描写も出色。
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