「興味深いけど共感は出来ませんでした。」二十四の瞳(1954) dpac2005さんの映画レビュー(感想・評価)
興味深いけど共感は出来ませんでした。
クリックして本文を読む
有名な作品ですが内容についてほとんど予備知識なく見ました。
昭和初期、島の分教場に着任した大石先生。颯爽とした洋装はカッコよく、またこの頃「洋装」というのがどれだけ奇異だったかもよくわかりました。この頃の岬には電柱もないんですよね。
以降、終戦後までの家屋や髪型、風俗の描写はとても面白かったです。
ただ、これっていわゆる「反戦映画」なんですよね。原作者と監督の「反戦」にかける思いがちょっと濃すぎて、他の方が絶賛されているほどには感情移入できませんでした。とにかくえぅえぅ泣きすぎ。颯爽としていた大石先生が最後は辛気くさいおばはんになっちゃって。設定上40歳ぐらいのはずなんですけど、表情はおばあさんですよね~。戦争の悲しさを描くために泣きのシーンはどうしてもふえるのかもしれないけど、もうちょっと別の描き方(明るく振る舞う中での悲しさ。みたいな)もできたんじゃないかとおもいました。類似テーマでいえば「この世界の片隅に」の方が数段デキはいい気がします。
あと、歌のシーンが頻度高くて毎回結構長いのも印象的でした。当時はこういう演出が一般的だったのかなぁ、当時の人たちはそれが感動的だったんだろうかなぁと思うと、鑑賞者の心に訴えるポイントも、当時と今とではずいぶん違うんだろうなぁと。
「1950年代前半に昭和初期を描いた映像」という意味でとても興味深かったですけど、「名画」というほどでもなく、でもこれが賞をいっぱいとったというのもまた事実なので、「なぜ?」というところをもう少し考察しても面白いかな、と思いました。
コメントする