にごりえのレビュー・感想・評価
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丸木橋
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明治の市井の人々の暮らしを描いた 樋口一葉原作のオムニバス映画
各々が極限状態に置かれるが
「大つごもり」の不良長男 石之助(中谷昇)の奔放と
「にごりえ」のお力(淡島千景)、結城(山村聡)の
美形長身カップルのすっきりした姿が救いだった
文学座の俳優が総動員されており
史料的価値もありそう
私は 石之助の継母(長岡輝子)と
お力の同僚で 酔客に縁側から投げ捨てられる
子持ちの酌婦お高(文野朋子)が印象に残った
結城に対するお愛想などの客あしらい
頃合いを見計らって引き上げてゆく間合いなど
抜群に上手いように感じた
結婚を夢見ることが出来ないお力も
結城に何らかの淡い期待を抱いたのだろうか
この仕事には心底うんざり
女の閉塞感が感じられる
頭痛がするのがわかる
心中なのか殺人なのか謎だが
源七(宮口精二)に所有物のように殺された場合
立派に切腹なんかされてしまったら
それを世間は心中と誤解してしまうのでは
それは源七の思う壺みたいで お力は浮かばれないような…
平川透徹の美術が素晴らしく、楽しめました
障子の穴まで 有無、多少、位置など緻密に考えられていて感心
極貧であるはずの お力の実家の障子には穴は見当たりませんでした
孤高の職人である父親の美意識でしょうか
文学座総出で かっちりとした仕上がりのような気がしますが
明治ってこんな感じだったのかな… と思いました
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