「日本人は76年も経って何世代も変わっても、結局同じ、変わりないようです そんなペーソスを噛み締める映画です」肉弾(1968) あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
日本人は76年も経って何世代も変わっても、結局同じ、変わりないようです そんなペーソスを噛み締める映画です
世紀の名作「日本のいちばん長い日」のエピローグのような作品です
本土決戦を軍部がいくら呼号してみても、実態はこんなものだったというものです
近代的な装備、潤沢な兵力と補給で迫ってくる米軍を迎え討とうにも、もはや肉体を爆弾とするしかない
それが「肉弾」という意味です
つまり「日本のいちばん長い日」と表裏一体をなしています
セットで鑑賞されるとよろしいかと思います
悲愴をもはや突き抜けて、ペーソスの段階でしかないとコメディタッチで本土決戦の準備に勤しむ学徒動員された大学生の主人公を描いています
ちょうど東京で「日本のいちばん長い日」での緊迫した終戦工作が行われている数日間のことです
映画会社の資金をひきだせず、事実上の自主制作のプライベート映画の趣です
しかし見応えがあり印象に強く残る映画だと思います
コロナ禍で、オリンピックの開催が危ぶまれています
何が何でも開催するのだと、戦争中の軍部のようなことを主張する人々がいます
中止すべきとか言おうものなら非国民と言われそうです
でも感染状況はどうか
緊急事態宣言は延長を繰り返し、その地域も拡大していくばかり
頼みのワクチンの接種はそれを巡って大騒動
まるで本作のような有り様です
主人公のあいつのように、悲愴にならずおかしみを持って生きて行くほかないようです
日本人は76年も経って何世代も変わっても、結局同じ
変わりないようです
そんなペーソスを噛み締める映画です
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