楢山節考(1958)のレビュー・感想・評価
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すごかった
伊集院光さんの本で山田太一が推薦していた。なので事前にセット撮影であることなどを踏まえて見る。すると、照明の切り替えが舞台のようでシャープでかっこいい。セットであるのに奥行きがあり、狭さを感じない。音楽が長唄みたいな三味線でずっとなり続けていて、ちょいちょいストーリーの解説になっているのだけど、集中していないとあまり聞き取れない。途中で全部聴くのは無理だと諦める。作り込みがすごい。
おばあちゃんが、歯が丈夫なことなのを年寄なのに恥ずかしいと言って臼で折る。一方近所のじいさんは山に行くのは嫌だと騒ぐ。主人公のおじさんは、結果的に人を殺めてしまうのだけど、それより自分の母親のことしか考えず、特に気にしない。
あんな骸骨だらけの山に自分の母が行くと思うとつらすぎる。てっきりモノクロ映画かと思っていたらカラーで美しい。
生きる事とはこういう事と思わせられる
・母親が最初から、来年には山にっていう話を朗らかに語る姿がとても苦しい。息子の辰平もずっと聞きたくない言葉を聞いて耐える姿がつらい。けれど、そうしなければ家族全員が飢え死にするという…生きる事ってこういう事なんだろうなと考えさせられる。そこにきて息子?の浅はかな感じがとても腹が立ってくる。後妻さんがとてもいい人なのが気持ちを救われる。
・全編セットを組んでの撮影っぽくて圧倒される。カラスも室内で放してったぽいし。遠景が描かれたパネルにぶつかっていたし。
・村で盗みを働いた一家を断絶させる感覚とかが恐ろしい。とはいえ、自分もそういう見方で人をみていなくはないので、わからなくもない。好きな人の友達が嫌な人だったら何となく嫌な人に見えてきたり、その逆もあったりと関係性で判断してしまっているという感覚の延長というか…。
・やっぱり、一番きついのはラストの姥捨てにいくシーン。幾人もの人達がここでっていうのを証明する散乱した骨がきつい。村の決まりを決まりに従って説明するシーンから重たい。道中、しゃべらないとか、母親はそれをしっかり守ってしゃべらない一方、息子は今生の別れ、といっても見殺しにしにいくようなものだからその罪悪感を薄めようと語り掛ける。その感じがつらい。最後の最後に今姨捨駅のカットが入り実際に日本であったことっていうのを強く感じさせられて、また考えさせられる。
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