「オープニングの松竹のロゴから「グランドスコープ。」の文字」楢山節考(1958) kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
オープニングの松竹のロゴから「グランドスコープ。」の文字
歯が33本。年の割には歯が丈夫な老人おりん。自分が捨てられにゆく楢山祭だというのに、妙に明るい。家族の会話でもその話ばかりだ。「夏に楢山へ行ったら、草や木など食べるものがいっぱいあるから冬がいいよ」などと平気で論ずる孫。しかし、一番山に行きたがってるのはおりん本人なのだ。
食糧難。多分、年貢に取られて苦しい農民たち。出発前の講釈はなかなか不気味でよかった。出発前に隣の又やんもじいさんを連れていくのだが、じいさんは暴れて逃げ出したりして、迫真の演技。ついに辰平がおりんを担いで山へ向かう・・・このBGMがずっと津軽三味線で辰平の心情を見事に表していた。幻想的な風景の中、おりんは岩の前で即身仏になるかのように黙って座る。
ラストには現代(とは言え1958年)の「おばすて駅」が登場。現実味を帯びたエンディングがなんとも切ない。
コメントする