「フツーの青春」波の数だけ抱きしめて こうたさんの映画レビュー(感想・評価)
フツーの青春
昔観た記憶よりはるかに面白かったです。
当時はオープニングに流れるユーミンの「心ほどいて」が大好きで、歌の設定そのままの始まりなのに、「私の嘘をみんな引き受けて、あなた、離れていくの」なんてキラーフレーズをストーリーに出来ていない内容にがっかりしていました。
後、ユーミンとミポリンて合わない気がするんですよね。ユーミンの歌のヒロインて気の強い女性のイメージだし。
目が覚めるように美しい冒頭の花嫁姿から一転、80年代のサーファーファッションのミポリンが、なんといいますか、まぁもちろん可愛いのですか、デビュー時の日焼けが似合う年齢ではなく、戦闘時のミミ萩原みたいな髪型も相まって、天下の美女が大仁田厚に見える瞬間がある訳がないこともないような事になっているといいますか…。
何より監督にミポリンを女優開眼させてやろうなんて気概は微塵もないのだから、ミポリンがミポリン以上に美しいシーンはありません。
というわけで、ミポリンの魅力を堪能出来るとは言い難いのですが、本作がつまらないとか意味がないとか言っているのではけしてありません。
アイドルでも女優でもない過渡期のミポリンの姿は大変貴重かと思います。
バブル経済の終焉だなんだは、ミポリン人気に何の影響も及ぼしていないので、無関係といえますが、常に全速力で走らざるを得ない時代の寵児として、青春時代を生きたミポリンが、もう映画なんて嫌!と怒り出すぐらい何時間も天気待ちさせられたエピソードは、ファンとしては救われるものがあるのです。
海を見ながらゆっくり本を読む時間をミポリンに与えてくれたからです。
呆れるくらい退屈な時間が、フツーの青春なんだよ、ミポリン。
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