「ハリウッド映画に、なりきれなかった…」19ナインティーン(1987) 777さんの映画レビュー(感想・評価)
ハリウッド映画に、なりきれなかった…
少年隊が主演の映画…しかし、少年隊自体が既に少年の年齢でなかったので
19歳という「子供でも大人でもない時」という位置づけがミソ…
かつては、ミュージックビデオ(MV)、今で言う歌のPVというのは、よほどヒット
可能性大の大物ミュージシャンの者でしか作られなかったが、1980年代の中盤に
VHSビデオテープが再生できるデッキが広く行きわたるようになってから、
MVは多く作られた。
その当時のMVというのはハリウッド映画的な作り方であった。
逆に、当時の日本映画は旧態依然の古い映像と音楽作りで、むしろMVの
方が映画的であった…
それで、この作品は多くのミュージシャンから楽曲を提供してもらい、MV的な
映画とした。
つまり、本来の映画がMVに似せて作るのが映画的という、パラドックスが…
当時の伝説的バンド「BOOWY」の曲も使用している事から、完全に若者に
迎合した作りである。
この作品、近未来物でハリウッド映画っぽく作っているのだが、完全に制作費と
技術力不足で、ハリウッド映画に追いついていない…
ラスボスは、人間そっくりのロボットなのだが、ハリウッド映画で同様の物を
作るのならば、人間の内部は骸骨の骨格だがら、骸骨型ロボットが、一番
リアリティーがあるとした作品、それが「ターミネーター」だ。
あれは人間そっくりのロボットを作る上での骸骨型ロボットを、大人が真剣に
作っている…
対し、この作品の最後に出る骸骨ロボットは、完全にオモチャ的な作りで、
とても人間の中身に、それが入っているリアリティーが無い…
つまり、制作費も技術者も追いついていない…
この1980年代中盤から、日本の実写映画の「ガッカリ時代」が、始まるので
ある…
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