劇場公開日 1980年7月26日

「やはり相米慎二は、デビュー作から天才だった!」翔んだカップル mac-inさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0やはり相米慎二は、デビュー作から天才だった!

2025年2月28日
PCから投稿
鑑賞方法:その他

YouTubeで配信していた。
バージョンは、公開版でなく、オリジナル版と言われる長い方(83年に再公開されたらしい。ディレクターズカット版?)。

基本的には、公開後に未公開シーンが追加された完全版やディレクターズカット版は、冗漫だったりする。今回も公開版の短い方が出来がいい。それは「セーラー服と機関銃」にも言えるけど。

好きな映画であるが、今回見直すと、やはりこんな映画よく撮ったなと思える相米慎二らしい映画。あんな引きの画で長回しをして観客に伝わると思っていたのか、すごい確信だと思う。それもデビュー作にして。

で、それが功を奏している。顔のアップは数えるほど。ここぞという時だけ。他はロングショットで、画面の中で表情すらわからない。でも段々見えてくる。というか見る側が補正して見てくる。(この辺が溝口健二に似ている)

漫画を元にしたちょっと歪なストーリーも、結果的に生々しい効果を上げている。

ラストがカッコいい。(鶴見慎吾の表情で終わる)これに被る主題歌が良くて、当時シングル盤まで購入したぐらい。

ニュープリントかデジタルリマスターで、公開してほしい。大画面で見直したい映画。

鶴見慎吾(15歳)が意外と可愛い。薬師丸ひろ子はもちろんのこと。
(真田広之と原田美枝子も出てくる!今回見て思い出した。真田が、薬師丸ひろ子と遊びで付き合って、手に余ってしまい、原田美枝子を呼んで振ってしまう役。大人の男女という役回りで)

相米慎二は、ほとんどシナリオをいじらなかったとか(勝手に現場で書き直したりしない)。田中陽造が言っていた。(今回は丸山昇一)
ストーリーは、多分破綻がなければ、そのままでも映画として面白く出来る自信があったんだろうね。
映画的感動は、ストーリーにあるのではなく、役者の演技にあると知っていたんだね。

やはり相米慎二は、デビュー作から天才だった!

mac-in