敦煌のレビュー・感想・評価
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人生の虚無感を解消するための目的探し
宮城谷昌光の『三国志』が好きなのもあり、中国周辺の地理にも興味が湧いたため、原作を十数年前に読んだ。でも内容をほぼ覚えておらず、今作を新鮮な気持ちで観た。
今作のテーマは、人生の虚無感とそれを解消するための目的探しだったのかなと思う。科挙に失敗して西夏に行ったのも、ウイグルの王女を匿ったのも、経典を焼失から守ったのも、全てはそのためで、趙行徳は常にどうしようもない虚しさを抱えているように見えた。しかし、ストーリーに対してはそれ以上のものを感じられなかった。
ただ、今作は映像美が秀逸で、広大な砂漠や夕焼けの中で大軍が行進する様は『アラビアのロレンス』を連想させる圧巻のスケールだった。
主役は、敦煌や莫高窟と共に、人間の活動をも浄化する砂漠だったろうか…
言わずと知れた井上靖原作の作品だが、
平山郁夫のシルクロード画を知ったのが
NHKの特集番組「シルクロード」
の頃だったのか、
この映画の頃だったのか、今となっては
忘却の彼方となってしまった中での、
1988年のロードショー以来の再鑑賞。
キネマ旬報ベストテンでは、
第1位選出の「となりのトトロ」や
「火垂るの墓」のジブリ勢と、
私の大好きな黒木和雄監督の
「TOMORROW 明日」が上位を占める中、
第13位との評価だった。
しかし、日本映画としてはかなりの大作だ。
沙漠でのスペクタクルとしては
デヴィット・リーン監督の
「アラビアのロレンス」を、
また、敦煌城での攻防は
「イントレランス」を思い浮かべたが、
それらに引けを取らない位の大作の趣だ。
旧ソ連の「戦争と平和」も同様だったが、
この作品での人民解放軍による
合戦シーンも大迫力で、
良し悪しは別にして、
共産主義政権下の軍隊による
スペクタクルシーンは、
昨今のCGによるものにはない
リアリティを感じる。
そんな中国側の協力と友情に
支えられたこの作品だが、
現在はそんな映画製作が想像出来ない
残念な政治状況になってしまっている。
さて、この作品、
井上靖さんの文字文化への想いと、
莫高窟から見つかった膨大な古文書への
推理をベースに、
共に愛した女性を心に秘めた二人の男性の
戦いが、核心と言えば核心なのだろう。
しかし、主役は敦煌や莫高窟と共に、
人間の活動をも浄化する砂漠なのだろうと
思わされる描写が印象的だった。
かつては原作本も読んだものだが、
果たして小説では
この点についてどう感じ取れていたのだろう
か、との記憶も、
これもまた、忘却の彼方となっていることを
思い知らされる鑑賞となってしまった。
厳しい砂漠の闘い
敦煌文書発見から思いを巡らせた歴史浪漫
中国ロケの超大作、敦煌や莫高窟
敦煌城セットを現地で作る等製作宣伝費で45億円かかっているとか。
広大な砂漠などスケール感がないとはいわないが、迫力はイマイチ。映像も音楽・録音も時代を感じる。
中川安奈は中盤でいなくなってしまうし。
佐藤浩市より西田敏行のほうが凛々しくて目立ってる。
アクションものというよりシルクロード好きな人向け
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