「水底に潜む泥の河〜〜」泥の河 星のナターシャさんの映画レビュー(感想・評価)
水底に潜む泥の河〜〜
昭和20年の終戦から10年経った昭和30年のお話。
何よりも、子供たちが素晴らしい〜〜。
公開当時、浜村淳氏の解説で
「屈折した子供心がひしひしと伝わってくる」と評された
あのシーンを実際に目にすることができて本当に良かったです。
劇中のセリフにもあるけど
戦争から必死で生きて帰ってきたのにフトしたことで
呆気なく死んでしまう人の悲しさや、残された家族の悲哀。
優しいお父さんの心に潜む戦争で生き残ったことや
捨てて来た過去への後ろめたさ。
昭和30年の朝鮮戦争特需の神武景気の最中、
戦争は嫌だと身にしみているのに、
今はよその国の戦争のおかげでなんとか生きている現実。
そしてそれに乗る人と乗れない人との間に開いてゆく格差。
それらは皆、表面上は汚れたものを運んで流れているけれど、
水底には取り残されたものが分厚く暗く沈殿している〜泥の河〜
なんという、切ないお話〜〜
主人公夫婦や、加賀まり子演じる未亡人や
その他、出てくる大人たちがほぼ皆、
子供たちに優しさいのだけは救いだと思う。
子供は分け隔てなくこの世の宝だもの〜〜。
出番は僅かながら、
画面が白黒であることを忘れさせるほどの
美しく色っぽい加賀まりこさんと
心の奥深くに悲しみを抱えた田村高廣さんの
さすがの演技に唸らされる。
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