富江のレビュー・感想・評価
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富江が菅野美穂はないだろう
ここまで酷いジャパニーズホラーも逆にないんじゃないのかというレベルで酷かった。とにかく、富江が菅野美穂はないだろう。この一言に尽きる。この映画のすべての悪はそこに収斂する。
いや、もう一言だけ。恐怖を突き詰めるあまり突き抜けてシュールレアリスムに到達してしまっているおかしみ、みたいなものが伊藤潤二作品の醍醐味なわけだけど、本作にはそもそもシュールレアリスムへと突き抜けようという気概も感じないし、そもそも最低限の恐怖さえ描けていない。富江の発するセリフはエセ狂いの中二病患者のように恥ずかしく上滑りするばかりだし、周りの男もボソボソ喋ったり唐突に大声を出したりといった使い古しのギミックに頼るばかりで、実際に何を、どれくらい恐れているのかがまったく伝わってこない。感情とはどこまでも個人的なものであり、ホラー映画はその個人的なものをどこまで具体的な画に変換できるかにすべてを賭けるべきジャンルだ。その努力のプロセスとして浮上したギミックだけを映画史の中から適当に拝借して並べ立てたところで何の意味もない。
やばい、五言くらい喋ってしまった。
最後にもう一度繰り返すが、富江が菅野美穂はないだろう。
隠れたジャパニーズホラーの一品
どこにでも出没する川上富江。切り刻まれバラバラ殺人の犠牲者になっても、再生して甦るらしい。明治初期から未解決事件の犠牲者として名前が上がってくるのに遺体が一度も発見されないのだ。この設定を見る限り、フレディやジェイソンといった不死のホラーヒーローにも通ずると感じた。
しかし、この第一作目は登場人物それぞれの断片的なエピソードを綴り、岐阜の高校で起こった不可思議な連続自殺や発狂のストーリーは刑事の口から語られるのみ。富江がバケモノだと写真をバラ撒いた原因もさっぱりわからない。もちろん菅野にカリスマ的なホラーヒロインを感じないし、死体が誰なのかもわからないといった、ホラー映画として欠如している箇所が多い。終盤、月子の恋人が高校時代のタナベと同じように富江を惨殺する輪廻と、首なし死体は面白かった。
刑事役の田口トモロヲと、病院から脱走したという山本(水橋研二)の演技が良かった。最初に持っていたバスケットには富江の首があったと想像できるが、声は『グレムリン』のモグアイそっくりだった。菅野美穂じゃなければまぁまぁのホラーになったかもしれない。
これは富江なのか!?
伊藤潤二ファンで長年スルーしてきましたが、とてもつまらなかったです。99年の作品ですが、80年代のサスペンスのつまらない回の再放送の様な雰囲気で、脚本も引き込まれるものが無く、終始画面が暗くて観辛いです。99年は経済と邦楽共に2018年の現在よりも遥かに豊かだったと思いますが、それを思い出せないほど画面が暗い映画です。富江のスプラッターな部分は映画では表現できないでしょうから脚本での工夫と言う事になりますが、初作にも拘らず原作の大きなテーマである美醜すら反映しておらず、とてもつまらなかったです。
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