透明天狗
劇場公開日:1960年3月1日
解説
「二人の武蔵」の共同脚色者・吉田哲郎の脚本を、「魔笛若衆」の弘津三男が監督した娯楽時代劇。撮影は牧浦地志。
1960年製作/73分/日本
原題または英題:Rolling Wagon
配給:大映
劇場公開日:1960年3月1日
ストーリー
勘定奉行青江武太夫は、公金横領、密貿易の科で切腹を申しつけられた。その場に居合せたのは、大奥側用人河井近江守、勘定奉行阿部山城守、勘定吟味役根来重四郎、与力権堂兵之進、それに大目付松平備中守の五人。--浪人松平新八郎の住む長屋に、佐々木昌之助と妹の八重が移って来た。新八郎と昌之助は好敵手の間柄。新八郎の隣りに住む目明し清吉の娘お仙は、新八郎に恋心を抱いていた。一夜、清吉は夜廻りの途中、目に見えない相手に襲われて死んだ。続いて、兵之進の死体が千代田城に現われた。見えぬ相手は自ら“透明天狗”と名のった。叔父備中守を訪れた新八郎は、殺人通知が来ているのを知った。備中守は、武太夫切腹事件と関連して、南蛮で行方不明になった彼の一子数馬に疑問を抱いた。重四郎も殺された。天狗は山城守邸に現われた。彼は山城守に白刃をつきつけ、武太夫切腹事件の真相を書面にしたためさせた。新八郎の変装だった。真相を得た新八郎は、備中守を訪れ、近江守が事件の首謀者であるとつげた。が、真の透明天狗は、無実の罪で殺された父の恨みをはらすための武太夫の一子数馬の変身だった。雪の中を千代田城へ向う備中守と新八郎の胸中には、冷然と筒先を揃えて進む鉄砲組とは逆に、透明天狗を助けようという決意がみなぎっていたのだ--。