「ちょっとわびしい」東京物語 ジョニーデブさんの映画レビュー(感想・評価)
ちょっとわびしい
クリックして本文を読む
血の繋がった子供より(香川京子を除く) 、血の繋がっていない原節子の方が優しいというストーリー。
1953年の映画なのに、今でも共感できるストーリーだ。それに、海外でも評判が高いと言うのは、海外でも共感できるストーリーだからだろう。
笠智衆の友人が、酔っ払って、親が子供を殺すこともあると言うセリフがあるが、今ならそういった事件も多いが、この頃も珍しくはなかったんだなと改めて驚く。
杉村春子がちょっと薄情なのに対して、原節子が余りにもいい人すぎるのは、ちょっと嘘っぽいが、その嘘っぽさを取り消すためなのかどうか、お葬式の後の笠智衆との会話で、「私ずるいんです」と何度も言ってるところが面白い。
あと、失ったものへの侘しさを痛感する。まだ銀座を通っていた路面電車、屋上の物干し用ベランダ台、原節子の住んでいる6畳一間のアパート、尾道の瓦屋根等。この頃は、熱海が若者の来るところだったとは。それに、この頃まではまだあった日本語の会話の美しさ。バスのガイドさんの案内まで、美しく響く。
この映画では地味な役の香川京子であったが、翌年、溝口健二監督の「近松物語」でおさん役を演じて、強烈な印象を残すことになる。
コメントする