東京流れ者のレビュー・感想・評価
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解散したヤクザの倉田組。 「不死鳥の哲」の異名をとる男(渡哲也)は...
解散したヤクザの倉田組。
「不死鳥の哲」の異名をとる男(渡哲也)は、親分の倉田を慕っている。
倉田組と敵対していた大塚組は、倉田の持ちビルを狙っており、ビルが抵当に入っていることから罠を仕掛ける。
その罠の中で、倉田も大塚も人を殺してしまう羽目になり、大塚は秘密を知る哲を狙う。
哲の身を案じた倉田は、庄内の舎弟のもとに哲を預けるが、大塚は殺し屋(川地民夫)を差し向ける・・・
といったと物語で、そこへ哲の恋人・千春(松原智恵子)と兄貴分的立ち位置の一匹狼(二谷英明)が絡んでくる。
庄内の後は佐世保へ舞台を移し、最終的には東京へ舞い戻るストーリーは、言っちゃ悪いがと、まぁ出鱈目。
全編を「東京流れ者」ほかの歌曲が彩っているが、それが出鱈目感を強調することになっている。
出鱈目だけなら飽きてしまうのだが、飽きないのは演出が強烈で、冒頭のモノクロ映像のギラギラ感(操車場でのロケも素晴らしい)、簡潔な室内セットの色彩、短いカット尻、アップでの場面転換など、常套でないケレン味たっぷりの演出が魅力。
(そんな演出をせざるをえないほど、予算が少なかったのではないかと思料するが)
そういう意味では「カルト映画」そのもの。
なので、若い世代の監督は、あまりお手本にしてほしくない演出なのだが、結果的にはモノマネやオマージュが増えたような・・・
すごい!と思うけれど、やっぱり、点数は高く出来ないのよ。
アクションエンタメと清順らしさ
鈴木清順監督の1966年公開された作品のデジタル復元版
ビデオレンタルでは観ていたけどアナログだとボケて見えない部分があったりしたので復元版を劇場で観れてよかった。
日活らしいアクションエンタメと清順らしいケレン味あるセット然とした画面がカッコいい。
いがい主題歌を何回も劇中で歌う渡哲也はかっこよすぎてちょっと演歌の花道のようで笑った
鈴木清順の作品が劇場で観れるのはうれしい。
ヤクザもんでも色彩豊かな鈴木清順ワールド全開🍀
先日初めて観て大好きになったアート系ヤクザ映画の4Kデジリマと聞けば行くしかない!!!
ありがとうBunkamuraさん!!!
冒頭のモノクロシーンでは登場人物たちのお顔が識別できないほどに全員顔が真っ黒だったため、「ん?リマスター化に失敗したの??」と不安になるところから始まったけど、カラーになってからは問題ナシ✨
やっぱり好きだーこの映画💜
『死んだのか?』
『死んだよ』
撃たれたのに横たわったまんまの“東京流れ者(口笛バージョン)”は笑わせるためにやってるとしか思えません!!😂😂😂
矛盾も違和感も吹っ飛ばす映画的快感
ディミアン・チャゼルが『ラ・ラ・ランド』にて密かなオマージュを捧げていたことでも有名な鈴木清順のヤクザ映画。いくら巷間で楽曲のタイアップ映画が流行っていたとはいえ鈴木清順にメガホンを取らせる冒険ぶりには当惑せざるを得ない(大島渚の『帰ってきたヨッパライ』もなかなかのものだったが…)。
60年代後半から70年代初頭にかけての「任侠」から「実録」へとヤクザ映画の重心が移行しつつあった頃にありがちな、人情とリアリズムを往還するような物語には既視感しかないが、色彩やオブジェクトの配置、セリフの行間といった技巧の点に関しては唯一無二のヤクザ映画と評せる。饒舌な長回しからスピード感のあるマッチカットまでなんでもこなす器用さにも毎度ながら恐れ入る。
終盤、軟禁された歌手の千春を助けに来た青年がヤクザに銃を当てられ、ピアノの上に座らされたかと思いきや次のカットでは青年が盤に指を置きメロディを奏で始める一連のシークエンスには仰天した。物語や行為としての矛盾や違和感を、それを上回る映画的快感で上塗りしてしまう映像の力強さ。
それと、東北の真っ白な雪原を駆けずり回る水色ジャケットの渡哲也。単に色彩がバチバチしているだけの映画であれば昨今でもままみられるが、本作ではそれらが周囲の空白や人物との間に必然性のある緊張関係を取り結んでいる。色彩の不在がそのまま画面の死となるのではないかと思わせるギリギリの画。それでいて及び腰な感じは全くしないので、こちらとしてもいけ好かない60年代のブルジョア大学生的スノビズムを警戒せずに陶酔できるというもの。
そう、鈴木清順って意外と気楽に見られるのがいいんすよね。割と身体的な部分で映画を撮ってて、なおかつそれが高水準で成功している。矛盾した言い方にはなるが、「衒いのない衒い」を実現できている。そんなのはやろうと思ってもできることじゃないからすごい。
闘いの構図にカラーを生かす鈴木清順
テツこと渡哲也の水色のスーツが実にさまになっていた。一方テツの先輩二谷英明は緑色ジャンバーを羽織る。敵方親分の赤いジャケット、舞台となるクラブ壁の黄色、室内壁の紫や薄緑などとともに、色に拘る清順監督らしい鮮やかさが印象的。最後は、真っ白なスーツできめた渡哲也が、真っ黒な衣装の自分を裏切った親分や敵に対峙する。
水色のスーツ
時代としては当然ながら斬新なレトロ感、木村威夫の美的センスが炸裂する清順美学としてのハードボイルドなピカレスク・ロマンたる所以の初期衝動。
石原軍団前の渡哲也が若いながらの渋味が全開で格好良過ぎる、単純明快にはならない単純な物語が潔く映像のLookが狙っていないオシャレ感で雰囲気が最高。
どんなに世が過ぎようと古臭さは微塵も感じない、娯楽の中にある芸術と意表を突いた演出描写、どの角度からでも楽しませる鈴木清順の手腕に脱帽する。
ギャング映画のふりをした芸術映画だ
1965年の大ヒット歌謡曲
本作はそれの今でいうこところのプロモーションミュージックビデオというものだろうか
筋書きや物語は、真面目に観ていても仕方ない
あくまでも歌詞が醸し出すイメージの世界だ
スタイリッシュなセットは、テレビの歌番組のスタジオセットという趣だ
色彩、衣装もそれに合わせたもので、その清順美学の芸術性に心酔できるなら、価値も意義も有るだろう
それでなければ辛い時間を過ごす事になる
ギャング映画のふりをした芸術映画だ
妙に心に残る
地名はあるけどどこだか分らない場所。原色のセット、派手なネオンサイン、冬なのに水色のスーツ、松原智恵子に全くあっていないアフレコ、なぜか自殺してしまう殺し屋とか、訳が分からないけど。西部劇みたいなドタバタや決闘シーンも捨てがたい。
繰り返し流れる渡哲也のテーマソングも残る。こういうのニモの時もそうだった。
まだ映画全盛期、二本立ての時代だから、こういう冒険もできたのか?
なぜかまた見たくなる。
楽しかった
この当時の渡哲也は、20年前に死んだ父に顔が似ていて好感度が高い。3回頭に来たら手が付けられなくなるという役でワクワクしたのだが、そんなカウントダウンは特になかった。ヤクザ同士の金と不動産のやり取りが、あんまり意味が分からない。
あれだけ慕っていた親分から裏切られるなど、ひどい話であるのだが全体的に明るくて楽しかった。舞台みたいな美術と演出もよかった。
モノクロから始まる。が、一転、緑タイトル、そこからは目が痛い程の原...
モノクロから始まる。が、一転、緑タイトル、そこからは目が痛い程の原色ラッシュ。建物、構図もお洒落。この映像美、ハマる人はハマるんでしょうね。美術センスのかけらもない私にはあら?まあ!そう(笑)
ストーリーはほぼ漫画。不死鳥の哲、蝮の辰、助っ人は特捜最前線だ(笑)そして始まるドタバタ大乱闘。やっぱりコミックだ。そして決め台詞「女とは歩けねえ」。かーキザ!しかし渡哲也なのでなんともカッコイイ。ああ、昭和ノスタルジー(笑)
しつこく流れる「東京流れ者」、覚えちまったぜ(笑)
ピカレスクヤクザ映画
組の解散を機にヤクザを辞めた主人公(渡哲也)は、恩のある元組長に操を立てていた。
しかしビル乗っ取りで敵対していたヤクザに仕掛けられ、堪忍袋の緒が切れる。
取り縋る女(松原智恵子)を振り切り、全国に流れていく。
鈴木清順節満開のピカレスクロマン。
半分娯楽・半分芸術
なんとなくストーリーが行き当たりばったりな感じがしました。ですから見ていて中盤ぐらいまでは、あまり面白くなかったです。しかし後半から急に盛り上がりだして、特にクライマックスの部分が最高でした。普通の映画のような、いかにも映画的なアクションシーンではなく、まるで舞台のような、芸術的に作り出した感じの作為的な人工的なクライマックスが用いられています。登場人物たちがそれぞれ単色のスーツを着てるとか、色の使い方やセットの使い方が独特でディレクターの才能を感じました。これは、とても高度な試みを成功させている映画だと思います。
いい感じの肩透かし感
ニコラス・ウィンディング・レフンが大ファンと公言しているので観てみたが、つげ義春のねじ式みたいな世界観だった。
クライマックスの白い部屋とか忠臣蔵的セットでのドンパチ。
不自然なリアリズム映像の中に独特の陶酔&酩酊する感覚は確かに通じている。
しかし、ストーリー自体はめちゃくちゃ強いが義理に固い主人公が結果嵌められ、復讐するという至ってシンプルなものだったので、ちょっと肩透かし感が…
ジム・ジャームッシュとか難解お洒落系の監督がフェイバリットに挙げる作品だけあって、雰囲気はいいのだが、ちょいともう物足りない。
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