「絶対見た方がいいと思える映画」東京裁判 ジュンヤさんの映画レビュー(感想・評価)
絶対見た方がいいと思える映画
広島だからなのか、8月は大東亜戦争に絡んだ映画がよく上映されています。
「東京裁判」のドキュメンタリーは見たことあるのですが、映画は初めて見ました。
率直な感想として、ドキュメンタリーでまとめられたものと、実際の裁判映像を写したものとでは受ける印象が全く違いました。
東條英機が知り合いにおふざけで頭をこづかれて笑っていたり、判決が出た時にしっかりお辞儀をする場面などを見ると、身近に感じれられて、これまで持っていた印象が変わりました。
連合国側に一方的に裁かれる理不尽な裁判だという印象を持っていましたが、裁判官、弁護人の方々の中には、自分の正義を貫いたり、論理的で公平な意見を述べる方もいて、思っていたよりもちゃんとした裁判で、感動を覚える程でした。
オーストラリアのウェッブ裁判長は「天皇が議会で決定した事にただ同意するだけの存在だとしても、天皇に罪がないとするならば、その下にいる大臣達が有罪になるのはおかしい」
と意見していて、インドのパール裁判官は「そもそも自衛のための戦争か侵略の戦争かを議論する前に、日本の戦争が侵略戦争であったと始めから決めつけているし、侵略戦争が罪になるのならば、植民地時代から裁判をしなくてはおかしい。」と意見していて、日本ではあまり聞かれない真っ当な疑問をぶつけています。
映画の中では戦後の日本国民の反天皇運動の映像もあって、抑圧から解放されたかのようにそれまでの日本を否定する流れがあって、政府や軍人が罪人となった結果だけが残っていったような気がします。
戦争自体の罪は曖昧で、もし罪だとするならば歴史のどこから裁けばいいのか?
国家で行なったことの責任を個人が背負うのか?という問題は解決されないまま、結局は多数決で判決が決まってしまいます。
確かなことはナチスによるホロコーストのような虐殺は罪であること。戦争による罪を問うと戦勝国側も裁かなくてはならない矛盾にぶつかるので、虐殺を理由に裁いたという印象が強く残りました。
国際法が大事だと思いますが、現代のマスコミの報道でも感情を煽ってくるばかりで、何が悪くて何が正しいとされているのかが非常に曖昧なままに、ただ可哀想という感情や、勝ちそうか負けそうかだけが議論されて、東京裁判で交わされていた疑問はあまり解消されないまま、時代は流れいったのだと思ってしまいます。