妻の日の愛のかたみにのレビュー・感想・評価
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若尾文子の闘病もの
初見は角川シネマ新宿での『若尾文子映画祭』(2015年8月)、9年ぶり鑑賞。
この映画の舞台は「九州・柳川」。
大林宣彦監督の『廃市』でも舞台になった水の町。
カラー映画なので、若尾文子がとても綺麗である💕
序盤は「仲睦まじい夫婦物語」だが、全体的には「闘病もの」なので、重い話。
舟に乗った花嫁=千枝子(若尾文子)を追いかける男=正之(船越英二)が、この花嫁の夫になる男。
二人とも学校の先生をしながら、夫の父母と一緒に暮らしている。
妻の千枝子は、手製うどんを作ったり、井戸で洗濯したりと、朝から晩まで良く働く嫁である。
夫が「今晩は、君のうどんがたべたい」と道端で言って、生徒に『君のうどん』と冷やかされるシーンは微笑ましい😊
また、夫婦二人が田んぼで仕事をするシーンがあり、その帰り道で妻が「私、もう歩けない」と言って、船越英二が若尾文子をおんぶする。
このシーン、超うらやましい‼️‼️
そして、学校の数学教師をしている妻が授業中にチョークを落としたあたりから、病の影があらわれる。
身体じゅうの関節が痛くなり、別府の病院に入院。
難病のようだが、病名は不明。(リューマチという単語が一度出てくるが、医者は「関節が固まりはじめていて…」などと言うので、不治の病ということなのだろう。)
病気になって8年後(入院先の別府から戻って5年後)、夫の外出中に、妻は実家に帰ってしまう。夫以外の家族と本人=妻が決めたこと。
それを知った夫は、……といった感じで物語が進行する。
明るい夫婦の姿を描いた序盤は楽しいが、闘病風景ばかりになってからは暗い感じになる映画だった。
(※)初見時は未ソフト化作品だったが、その後DVD発売されて今回はDVDにて。DVDに収録されている予告編は「本編で使われなかった映像が多い」ので別テイクが見られて楽しい。
<映倫No.14103>
純愛を貫いた夫婦の悲しい名作。
最初にこの作品のレビューをさせて頂く事に名誉と感じ感謝したいと思います。
この日本映画、忘れられない印象深い悲しい映画です。
最初に見たのは小学生の時だったと思います。
印象に残るのは、夫役の船越英治が身体が動かなくなる不治の病にかかった妻役の若尾文子さんを必死で守ろうとする姿が忘れられません。!
(親戚から離婚を迫られるが断固拒否するシーンは男子たる者、斯くあるべきと思いました。)
また、妻役の若尾文子さんも夫に迷惑をかけまいとするその言動にも心を射たれます。!
妻の役割が出来ないと悟った妻若尾文子さんは夫がいない時を見張らい昔の教え子達に協力してもらい気丈の決意で実家に帰る。
それを知った夫はすぐさま妻の実家に向かう。!
この実家の妻の母がまた気丈である。!
夫である船越英治に対し「あれはもう体がなくて 心だけしか生きていません、その心があなたの幸せだけを願っています。
もう、かきみださないでやって下さい。」
と言いながら合わせないのである。!
それに対し夫は「その心だけでいい。」と言う。
何とも切ないシーンである。!
人を愛すると言う事は
その人の幸せを第一に考えると言う事をこの映画で一番言いたかった事と思います。!
昨今、身勝手な理由で女性に手をかける男どもが余りにも多い。
この映画を見て反省しなさいと言いたい。!
最後にこの映画で忘れられないシーンは、冒頭の小舟に乗った花嫁姿の若尾文子さんのシーンとラストの「目の中に見えるのはあなたの事ばっかり……」と回想し、夫からもらった人形を床の横に置き、
「 妻の日の 愛のかたみよ あどけなく 髪亜麻色に座る人形。」
の詩を謳って終わる所です。!
こんな悲しいラストは後にも先にもありません?
互いにまだ生があり愛情があるがゆえに離ればなれに、ならなければならない状況。
日本映画の中でも屈指の悲しい名作です。!
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