劇場公開日 1984年11月17日

「バブルイケイケの当時を懐かしみたくて。」チ・ン・ピ・ラ(1984) 野球十兵衛、さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0バブルイケイケの当時を懐かしみたくて。

2024年2月21日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、TV地上波

泣ける

笑える

楽しい

雑誌には、わたせせいぞうが描くシティポップなスーツ姿の男が爽やかに笑い。
ブラウン管では、吉川晃司がスーツ姿でサンクス×4♪モニカ♪と軽快に歌い。
そんな。そんな白いスーツがトレンドだった1980年代半ば。
ギャルたちは「え~っ、うっそぉ~」と甘ったるい声で軽薄に笑い。
地元の田舎街でさえネオン街は眠ることを知らず。
“たけちゃんマン”は、ナハナハ笑い。
まさに日本が一番元気のあったイケイケの時代。
それを懐かしみたくてチョイスした一品です。
マジ懐かしい。思い出すと胸がきゅ~っ…となります。さあバブルへGo!

予告編のコピーは「ファッショナブル青春ギリギリシネマ」です。
青春を過ぎてもオジサンになりきれないチンピラふたりのお話。白いスーツ姿の柴田恭兵と、ジョニー大倉が大変ファッショナブルで印象的した。
冒頭と、開始30分にも再び訪れる“銃殺ごっこが”まさかの伏線とか。このエピソードが効いていた痛快なラストでした。
お話で強烈に印象に残っている台詞あるんですよ。川地民夫演ずるヤクザ幹部がメロン食べながら言う
「道夫じゃねぇだろ!道夫はおまえの兄貴分じゃねぇのか!梅沢の兄貴とか、道夫さんとか呼び方があるだろうが!ケジメだよ、ケジメ。あン?」
ご覧になられた方になら、わかっていただけますよね、これ(笑)

そんなことよりも物語中盤、血塗れのズタボロに〆られた切ないカットでの「ヤクザがプロで…俺たちゃアマチュアなのかね…やっぱり…チンピラのプロってのは…ムリなのかねぇ(泣)」が、物語中で一番撮りたかったシーンだったと思うの。
普通のオジサンにも、ましてやヤクザにもなりきれなかった、情けない野良犬みたいなチンピラふたりの苦悩と悲哀。
そんなチンピラがカマす一世一代の大芝居!どんでん返しの“笑撃”ラストが大変爽やかだったです。
かなり泣かせに来てたラストだと思ったのに。涙を返せ!

そんなジョニー大倉さん、62歳でお亡くなりになられたのですね。早いよ!
一方の柴田恭兵。御年72歳。この春に『帰ってきたあぶない刑事』で舘ひろしとW主演。
お元気だなぁ。スタイリッシュな容姿は今だ健在。私としては、能勢慶子とW主演だったTVドラマ『赤い嵐』が、秒で思い出されます。「ここはどこ?私は誰?」→「しのぶっちゃん!」(またごめんなさい・笑)
「いいとも青年隊」の久保田敦篤も、もう64歳。時の経つのって早いよ。
私もスーツ着て“ディスコ”で踊ってた青春時代に戻りたいよ。「何とな~くクリスタ~ル♪」

功罪の“罪”も言われているバブルだけれど、もう一度巻き戻しでリターン!と思わずにはいられないです。
PINKによる主題歌「PRIVATE STORY」の詞が、いかにもバブルチックで良き歌です。
あんな奇跡的な時代って、もう来ないのかねぇ…(泣)

野球十兵衛、