忠臣蔵 花の巻・雪の巻(1954)のレビュー・感想・評価
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四十六士
四十七士ではなく、四十六士になっていたことも驚きだが、吉良邸討ち入りの際の重厚な音楽(伊福部昭)がゴジラのテーマそのまんまだったことに笑ってしまった。 207分という大作であるのに、松の廊下刃傷事件までが1時間ほどかかる。さすがに加山雄三を大切にしていたのか、演技が下手なだけに飛ばして観たくなった。それでも脚本は事件の詳細を描き、吉良が賄賂を要求していた様子がよくわかる。 岡野金右衛門の恋の絵図面取りがかなり描かれていて、相手の兄がフランキー堺。大工仲間も由利徹などコメディアンを入れて、雪の巻ではかなり笑えて、庶民的な描写が楽しめる。俵屋伝藩(三船)の存在がなかなかよくて、序盤での千坂(志村喬)とともに『七人の侍』を思い起こさせる。討ち入り前に自害してしまった48番目の赤穂義士萱野三平の名が大石の槍先に結ばれていたのが印象的。 全体を通して武士の魂のようなものが描かれ、潔く自害することが美徳であると訴えているように感じる。それでも、敵討ちだけではなく、幕府への批判精神をも感じさせ、まとまりは弱いものの面白いテーマがあった。
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