痴人の愛(1967)のレビュー・感想・評価
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まるでアザラシのようなナオミ
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映画「痴人の愛(1967)」(増村保造監督)から。
谷崎潤一郎の同名小説ってこんな作品だったかなぁ、と
読んだ記憶はあるが、なかなか思い出せない。
単なるママゴトとしか思えない物語の展開に、
時代のズレを感じたが、1924年(約89年前)に書かれ、
1949年(約64年前)・1960年(約53年前)・1967年(約46年前)、
3回も映画化されたところを考えると、
その度に社会に対して、訴えるものがあったに違いない。
「ナオミ」という若い女性を自分の手で磨きあげ最後に結婚する、
日本版「プリティ・ウーマン」と言いたいところだが、
ほど遠い結末に、何か空しいものを感じて、苛立ちさえ覚えた。
しかし、じっくりメモしながら眺めると、意図して表現したのか、
制作者の遊びの部分なのか、思わず笑えるシーンがあった。
彼女の成長記録とでも言えそうな「ナオミ日記」は、
主人公のナレーションと、写真撮影当時のメモで表現するのだが、
水着姿のナオミの映像に被せたナレーションは
「ナオミ、ひと夏で泳ぎを覚えてしまう、実に美しくてたくましい。
まるでイルカのようだ」
しかし、映像に残された記録板に書かれたメモには、
「まるでアザラシのようなナオミ」と書かれていたからだ。
このギャップが何を意味するのか、私にはサッパリわからないけれど、
こんな発見は「メモ魔」としては、妙に嬉しいものとなった。
原作に書かれているわけないよなぁ、こんなシーン。
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