劇場公開日 1984年12月15日

「【”顔ぶたないで。私女優なんだから・・”夏樹静子氏の名作を劇中劇として、舞台女優映画に昇華させた作品。若き、薬師丸ひろ子さんの懸命なる演技及び類稀なる透き通った声を再認識する作品でもある。】」Wの悲劇 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【”顔ぶたないで。私女優なんだから・・”夏樹静子氏の名作を劇中劇として、舞台女優映画に昇華させた作品。若き、薬師丸ひろ子さんの懸命なる演技及び類稀なる透き通った声を再認識する作品でもある。】

2023年2月7日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

ー 劇団の研究生・三田静香(薬師丸ひろ子)は、芝居のために先輩俳優と一夜を共にするなど(何故??)芝居に打ち込む日々を送っていた。
  そんなある日、看板女優・羽鳥翔(三田佳子)のパトロンが腹上死したスキャンダルの身代わりとなった彼女は、その代償として舞台「Wの悲劇」のヒロインの座を手に入れる。ー

◆感想

・夏樹静子氏の名作「Wの悲劇」を2000年代の新装版で読んで、余りの出来の凄さに驚いた者としては、今作の作品設定(劇中劇)に、大いなる違和感を感じた作品である。
ー 今作を、リアルタイムで観ていないので、今作に格別なる思いを持つ方には申し訳ない。-

・更に言えば、今でもあると思われる(昨年、何人の映画監督がセクハラ問題で、映画界を追われた事か・・。)女優として、名を挙げるために影響力ある男に身を捧げ、地位を得るという設定が、当時は当たり前だったのかもしれないが、受け入れがたい。
ー 今、腹上死って、あるんですかね???。あるのかなあ・・。
  男としては避けたい死に方であるし、そんな行為に及ぶ男と受け入れる女優さんも・・。
  最近鑑賞した、唾棄すべきハーヴェイ・ワインスタインの愚かしき行為を暴いた女性記者たちの映画が脳裏に過ってしまった。時代かなあ・・。-

・と、散々悪態を書いて来たが、矢張り若き薬師丸ひろ子さんの姿は魅力的なのである。
ー 先日、「探偵物語」を鑑賞した際にも思ったのであるが、私にとっては薬師丸さんは”優しいお母さん”を演じる女優さんのイメージが強いのだが、今作を含めた作品を40年振りに鑑賞すると(というか、当時オイラ赤ちゃん・・。)、現代のアイドル女優さんには到底求められないことまで、制作者側から求められ(角川さんさあ・・。)、それにキッチリと応えている演技は、素直に凄いなあ、と思うのである。ー

・お若き薬師丸さんは、それに対し相当悩んだと思うのであるが(推論)、それを受け入れてキチンと応えている姿には文句の言いようがないのである。
ー だって、「探偵物語」のラストで、故、松田優作との激しすぎるキスシーンなど、驚いてしまったぞ。-

<今作の作りには色々と言いたいことが有り、素直に記したが、それは薬師丸ひろ子さんの演技の価値を落とすモノではないと思う。
 矢張り、凄い女優さんなのである。
 でなければ、40年近く邦画の第一線でご活躍されることはないであろうし、何よりも薬師丸さんの透明感ある音程にブレの無い透き通った今作のエンディングでも流れるメインテーマの歌唱力は、比肩無きものであるからである。
 少しづつ、若き薬師丸さんが出演された映画を観て行こうと思っている。>

NOBU
kazzさんのコメント
2023年2月8日

薬師丸ひろ子が「野生の証明」で高倉健の娘(養女)役でスクリーンデビューした時の衝撃は凄かったんですよ❗
初主演の「翔んだカップル」が相米慎二監督のデビュー作でもあって、これまた衝撃でした。
当時は、アイドルといえば歌手が相場で、テレビで見ることができましたが、薬師丸ひろ子はテレビでは見られないのでファンが劇場に殺到したのです。
その後、原田知世、斉藤由貴と国民的アイドル女優は登場していますが、薬師丸ひろ子の数々の伝説を越えてはいませんね。
時代が変わっているので、今後ああいうムーブメントは起きないと思います。

kazz
everglazeさんのコメント
2023年2月7日

原作、素晴らしいのですね。女優さんのお気持ちまで汲んでいる深くて優しいレビューですね☺️

everglaze