劇場公開日 1984年12月15日

「Wの悲劇のもうひとつの意味」Wの悲劇 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0Wの悲劇のもうひとつの意味

2019年10月30日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

日本版イヴの総てともいうべきものでありました
感動しました
ラストシーンのカーテンコールで思わず自分もまた拍手をしてしまいました
正直、舐めてかかって観始めたことを懺悔します
ごめんなさい、紛れもない傑作でありました

和辻家の悲劇とウイメンの悲劇にかけての題名だと劇中で説明されますが、もちろん、もうひとつの意味が有ります

それはダブル、つまり二重性です
いつしかどちらが本編かと錯覚してしまう劇中劇
そして本当の二重性とは演技をしている自分を見つめているもう一人の自分という二重性ということです
そこに本作のテーマがあります

本当の女優としての薬師丸ひろ子の誕生だけでなく、世良公則も、三田佳子だって本作によってステップアップしたのではないでしょうか?
それでいて、二十歳の等身大の女性の姿が瑞々しくフィルムに焼き付けられています
彼女がそこに確かにいたことを感じる程に

こそには初体験の性、安全日周期、妊娠といった
若い女性だからこその現実も的確に描かれているのです

久石譲の劇伴も素晴らしくクオリティが高く、本編にマッチしているだけでなく気品を与えています

忘れていた二十歳の頃の熱い情熱がよみがえります
今もこのような青春が下北沢の居酒屋に有るのかも知れません
手の届きそうで結局届かない天井のポスター
下北沢のどこかの居酒屋の天井にもポスターが貼ってあったような気もします

あき240