「沢田研二、かっこいい」太陽を盗んだ男 スパチカさんの映画レビュー(感想・評価)
沢田研二、かっこいい
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1979年の作品ということなのだろう、原爆やプルトニウムに対しての意識の軽さは結構違和感がある。平和ボケなのか、裏を返せば今がより物騒な世界なのか。
シニカルで鬱屈とした空気感が日本を覆っていた時代、原爆を一教師が作り、それを使って権力を敵に回す痛快感は確かにあって、それがこの映画のいいところだろう。
20代の頃ビデオでこの作品を見たが、「ローリングストーンズを日本に呼ぶ」という現実的な要求と、菅原文太のしつこさがすごかったことを記憶している。
改めて見ると、突きつける要求も場当たり的で、そこには何の意図もない。バスジャックした男の天皇との狂気的なほどの面会要求との対比がそれを際立たせている。
今見ると全編空虚感が漂う作品だ。
しかし菅原文太演じる警部の強さとしつこさは度を超え笑えるほどで、これは後のターミネーター級。冒頭で、沢田研二の役どころを明確にするカットも冴えていてかっこいい。
カーチェイスはきっとこの頃全盛で「太陽にほえろ」バリで懐かしい。
ラストシーンはチープな「ドカーン」という音ともに黒にフェードアウトする。それまでの原爆、核のイメージが白のハイキーなトーンであることを考えると、ラストは原爆は不発であることを示唆しているのか。
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