「プルトニウムを盗んで《原子爆弾》を作る中学教師」太陽を盗んだ男 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
プルトニウムを盗んで《原子爆弾》を作る中学教師
内容の過激さにぶっ飛びました。
良し悪しはともかくとして、映画史に残ることは確か!
1979年公開。長谷川和彦監督。脚本は長谷川和彦とレナード・シュレイダー。
主演の犯人役が沢田研二。
追い詰める刑事に菅原文太。
犯人に協力するラジオDJに池上季実子。
交番を襲撃して警官(水谷豊)に催眠ガスを噴射して、
拳銃を奪う。
奪った拳銃を使い《東海発電所》に侵入。
プルトニウムを奪う。
その後は、中学の理科教師の知識で、原爆を製造する。
(城戸・・沢田研二・・は、原爆の作り方を板書して授業に熱中している・・)
(生徒は、あのバカ、またやってやんの・・・と、しれーっと、見てるだけ)
完成した原爆を、国会議事堂のトイレに仕掛ける。
妊婦の女装で入れちゃう?!
(今なら中に絶対に入れない・不可能!)
面白い場面は多いのだが、犯人・城戸がする変装も見ものの一つ。
東海発電所の侵入場面。
★顔を黒く塗り、黒の覆面に全身タイツ姿は、まるでスパイダーマンのパロディ。
発電所の高い壁をよじ登り、逃走には、ロープを使い軽々と壁を滑り降りる。
国会議事堂の侵入には、
★妊婦の女装・・・原爆は丸い半円形で腹部にぴったりサイズ。
沢田の女装はなかなかのもの。青いワンピースがよく似合う。
★フランケンシュタインのゴム製マスクの変装もある。
これはメンが割れないのに役立つ。
もう一点は、
城戸の要求。
①ナイターの巨人戦TV中継を終了まで、放映しろ!!
(これは地上波では今でも、9時前には終わるから・・・)
②ローリングストーンズの公演を実現すること。
(実際にストーンズの公演は1973年にメンバーの大麻所持のため中止に、
なっている)
③五億円を要求・・・
城戸は原爆製造資金を借り、サラ金の返済に困っていた。
(サラ金の取り立て男が西田敏行。ワンシーンで印象を残す)
よくもまあ、これだけ反体制的で国家権力に挑戦する映画が完成して
公開されたものだ。
今より表現の自由があったようだ。
(まあ、政府が規制を強めようと、SNSの世界では、爆弾製造なんてググればすぐ出て来るらしいし、ただしプルトニウムの入手は困難。)
刑事の菅原文太が実にいい。
ヤクザ者やトラック野郎の映画で有名だが、この映画の文太は、
冷静で頭の切れる男。しかも犯人にスッポンみたいに喰い付き、死闘を繰り広げる。
ヘリコプターにぶら下がってから飛び降りたり、
犯人とのカーチェイスにカーの炎上爆発シーンはドラマ「西部警察」や「太陽にほえろ」を思わせるが、アクションでは身体を張って見応えあり。
沢田研二の犯人役も、グループサウンズのボーカルで超人気のジュリーの意外性。
反体制と無関係なアイドルスター・・しかし、ガムを終始くちゃくちゃ噛む。
ブワ〜っとふくらます。
反目になって白眼を剥き、涎を垂らして寝るノンポリ教師の内面には
国家転覆なんて野心はない。
そんな役が実に似合っている。
この映画のミューズ(女神)池上季実子も良かった。
お嬢様言葉を操りつつ、妖しい原爆男に惹かれていく。
伝説の監督・・そう呼ばれる長谷川和彦は、「青春の殺人者」と、
「太陽を盗んだ男」の二本のみで沈黙している。
存命で74歳。今、何を思うのか?
こんばんは。
こちらこそいつも共感やコメントくださりありがとうございます。嬉しいです。
諸星大二郎は好きな私から見ても、面白いと思うかは人によるだろうなぁ~と思います。
同時代に活躍したホラー漫画家なら楳図かずおの方が分かりやすく面白いので、万人受けすると思います。(楳図かずおも好きです)
ただ「ぼくとフリオと校庭で」は比較的万人受けする作品だと思います。(30Pぐらいの短編でサクッと読めます)気が向いたら試してみてください。
太陽を盗んだ男、面白いですよね!いい意味で邦画らしくなくて、ちょっとトボけた演出もインパクトあります。
この映画の公開とほぼ同じタイミングで金八先生の放送も始まっていますが、まったく異なる教師像なのも趣きがあります。
邦画のオールタイムベストを選出するなら七人の侍や東京物語と肩並べますよね、たぶん…。
私は映画を見るのが週末に2~3本程度で、平日はなかなか気力と集中力が持たずに見られておりません。
特に今はオリンピックもやっていますので、普段見ないような競技をボーっと眺めていたら時間が過ぎているような感じです。
なので琥珀糖さんのレビューを読んでサクッと映画見た気になっております😅