大菩薩峠(1960)のレビュー・感想・評価
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雷蔵の美しさは虚無の中にある。
長らく手が出なかった映画だった。
しかし、何もする事がないと気づいた今こそ観るときが来たのだと実感した。
ストーリーは実にシンプル。虚無感に囚われてしまった人間は如何に生き延びるのか・・・
そんな命題を抱えて制作した映画なのだろう。
迷い、足掻き、悩み、忘れる。
そう、剣の道に迷い込み、
強くなればなるほどに強くなることの意味を求めてしまうのだ。
強くなることに意味などないのだ。
初めから生きることに意味などありはしないのに、さも自分自身の存在と自己確信を感じるために人は動く。ましてや剣客であるが故に意味を求めるあまり、充実感を求めてしまう。そう、殺しあう瞬間の充実感。生きていると実感できる瞬間を求めているかのようだ。そして、無抵抗の人間を斬るのは刀剣の素晴らしさを実感するためなのだろう。物欲と自己顕示欲の交差。こんな人間には決して出会いたくはない。しかし、映画を観ながら気づくのだ。自分自身に当てはまる部分を・・・・。
人は恐ろしい。。。。。
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