「霧隠れ救出作戦」太平洋奇跡の作戦 キスカ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
霧隠れ救出作戦
『ダンケルク』という実話を基にした撤退作戦の戦争映画があったが、日本にもあった。
1965年の東宝特撮戦争映画。
敗戦色濃く、太平洋の島々の日本軍はことごとく玉砕。
キスカ島の5200名の兵も玉砕覚悟。
米軍に包囲されたそのキスカ島から全兵を救出。一人も傷付けずに。
太平洋の奇跡と呼ばれたキスカ撤退作戦。
その作戦というのは、濃霧に紛れて島に近付き、上陸するというもの。
盲点を付くと言うか、何とも大胆不敵!
ぬか喜びさせない為に、島の兵にも極秘。
米軍にレーダー傍受されてもいいように、敢えて島の兵たちに玉砕を促すような電報を。
指揮を執るは、目立った戦歴は無い司令官。
あくまでこれは戦いに勝つという作戦ではない。
冷静沈着。判断力。忍耐力も求められる。
結果的にはドンピシャな人選であった。
奇跡の作戦とは言え、全てが万事上手くいった訳ではない。
作戦決行、島に近付くが霧がそれほどでもなく、一度は目前で引き返す。
事前に島に連絡係を送り、寸前になって生きて還れる希望を持つが、その時の一旦中止の落胆は計り知れない。
やはり無理だ。俺たちは還れない。
全員玉砕の覚悟。
覚悟は救出側も同じ。
覚悟を持って、作戦再決行…!
特撮は勿論、円谷英二。
要所要所の特撮シーンもさることながら、作戦の要、霧のスモーク演出はさすがの匠の技。
ハリウッドの戦争映画マーチを彷彿させる團伊玖磨によるマーチ曲も軽快。
戦争映画は捉え方が難しい。
本作だって、日本軍万歳!と見えなくもない。
人を殺す戦争。
でも、人を救う行為も。
娯楽和製戦争映画としてもなかなか面白かった。
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