劇場公開日 1965年6月19日

「霧隠れ救出作戦」太平洋奇跡の作戦 キスカ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5霧隠れ救出作戦

2017年11月29日
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鑑賞方法:DVD/BD

興奮

『ダンケルク』という実話を基にした撤退作戦の戦争映画があったが、日本にもあった。
1965年の東宝特撮戦争映画。

敗戦色濃く、太平洋の島々の日本軍はことごとく玉砕。
キスカ島の5200名の兵も玉砕覚悟。
米軍に包囲されたそのキスカ島から全兵を救出。一人も傷付けずに。
太平洋の奇跡と呼ばれたキスカ撤退作戦。

その作戦というのは、濃霧に紛れて島に近付き、上陸するというもの。
盲点を付くと言うか、何とも大胆不敵!
ぬか喜びさせない為に、島の兵にも極秘。
米軍にレーダー傍受されてもいいように、敢えて島の兵たちに玉砕を促すような電報を。
指揮を執るは、目立った戦歴は無い司令官。
あくまでこれは戦いに勝つという作戦ではない。
冷静沈着。判断力。忍耐力も求められる。
結果的にはドンピシャな人選であった。

奇跡の作戦とは言え、全てが万事上手くいった訳ではない。
作戦決行、島に近付くが霧がそれほどでもなく、一度は目前で引き返す。
事前に島に連絡係を送り、寸前になって生きて還れる希望を持つが、その時の一旦中止の落胆は計り知れない。
やはり無理だ。俺たちは還れない。
全員玉砕の覚悟。
覚悟は救出側も同じ。
覚悟を持って、作戦再決行…!

特撮は勿論、円谷英二。
要所要所の特撮シーンもさることながら、作戦の要、霧のスモーク演出はさすがの匠の技。
ハリウッドの戦争映画マーチを彷彿させる團伊玖磨によるマーチ曲も軽快。

戦争映画は捉え方が難しい。
本作だって、日本軍万歳!と見えなくもない。
人を殺す戦争。
でも、人を救う行為も。
娯楽和製戦争映画としてもなかなか面白かった。

近大