台風クラブのレビュー・感想・評価
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死と生の順番
幼少の頃、何かでタイトルを記憶していた映画。
無論その時は見れず、見れない。
時が過ぎ4kレストア版で視聴。
真夜中の中学高のプールに勝手に侵入する
女の子5人組。楽しそうに踊りまくる。
挿入歌はバービーボーイズの暗闇でDANCE。
KONTAと杏子の歌声が懐かしい。
なるほど、この歌詞が彼女達の気持ちなのだろう。掴みは上手いね。
先客の友人、明を見つけ海パンを脱がし、プールの仕切りで巻き付け溺死寸前に。かなりの暴走。
明の友人、三上と清水、梅宮先生にも連絡して来て貰う。梅宮先生役三浦友和さんは男前だね。
思春期真っ只中、主となる女の子5名と男の子3名。中学生らしい、うまく表現出来ない葛藤の気持ちがそれぞれにある。理恵の『あ~あ台風こないかな』に象徴される用に、この日常が壊れればと願ってるのかも知れない。
異性、同性、進学、暴力、家庭、喫煙など、もやもやしつつ解消できない。先が見えない将来への不安がある感じ。
台風当日、生徒達は学校に鍵を掛けられ閉じ込められる。授業をエスケープした生徒も合流。
今迄のよく分からない鬱憤をはらすかのように
踊る。下着姿になり体育館、水溜り、台風の中を愉しく狂気的なテンションではしゃぐ彼ら。
一人だけ考え込んで、出遅れる三上君。
こんな大人(先生)達には成りたくないし、納得いかない様子。翌朝、死は生に先行すると言って飛び降り。何故か犬神家風に脚だけが地上に。
死を意識する事で生になる事を示したかったのだろう。間近で沸々と感じる矛盾する大人に対して。
エンドロールで運動会の曲が流れたから、多分三上君は助かった気がする。
台風がそうさせたのか、若しくはこのような日を待ち望んでたのかは分からないが、この長い台風
の一日を通して自分達の気持ちを吐き出した気がする。わらべの『もしも明日が』を口ずさみながら。
その大切な一日を飛んで日常に戻ったんだね。
言葉にできない、世界を
つまらない
緑が美しい
個人的にこの時代のカラーが好きで、田舎の緑が美しい。
中学生日記みたいなのはあまり好きではないが、(嫌いというわけでもないが)演技が芝居めいていて鼻につくということは特になかった。
誰もいない閉鎖された校舎で男子が気になっている女子を追っかけまわすシーンは、すごかった。「おかえりなさい」「ただいま」とうわごとの様に呟きながら(恐らく家出したその場にはいない女子生徒の事を暗示している)真顔で机や扉を単調に蹴り続ける。トラウマものの怖さだが、その後追っかけ回した男子も追っかけ回された女子の方も普段通りに戻ってあっけらかんとしている。あまつさえ、「おかえりなさい」「ただいま」と今度はおどけた調子でみんなで唱和し、下着姿で仲良く踊っている。中学生の彼らの行動の背景には、大人の様な捻じ曲がった精神や倒錯した欲望、強い執着や悪意はみとめられず、行動の振れ幅が大きい分、心はとても繊細でしなやかだ。どう表現すればいいか分からない衝動が突発的に無軌道なエネルギーとなって放出される様子が映画全体を通して見事に描かれていたと思う。
個人的な名シーンは、家出をする女子生徒が出かけてしまった母親の布団に潜り込んで自慰行為するシーン。リアルでとても良かった。
何度も見たいか、と言われるとそうでもないが、個人的にかなり刺さった作品だった。
何故、名作扱い?
確か長回しが凄いとか言われてたんだよなぁ。
でっ、確かに長回しは多いけど、何か特別な技法を使っているワケでは無く、置いたカメラを上下左右に振ったり前後するだけ。長回しする事で、役者へのプレッシャーと言うか緊迫感は出せるだろうけど、それが効果的な場面がない。と言うか、殆どが十代半ばの子で演技も拙く、キーキー声で叫んでいるだけ。
遠目で画面に小さく夜の台風の風雨の中、下着姿で歌い踊っている少年少女を何分も映しているが、彼らの表情が分かるワケでもない。終盤、自殺の準備をしている所を数分掛けて映されても、だから?と言う感じ。しかも、準備終わって、さてっと覚悟を決めた瞬間は別撮りにしてる。淡々と作業をして、そのまま表情が変わるのを見せるなら分かるんだけど。って言うか自殺する理由が分からん。レイプ未遂、雨の中での歌い踊り等、台風ハイって事なんだろうけど、自殺する時は既に台風過ぎ去ってるし。
最後のシーン、台風で水に浸かった校舎を見て、中学生が「金閣寺みたい」って言うかなぁ。
Amazonだと1時間54分でした。
令和の闘いvs昭和の残酷
こんな話だったのか。
とてもよかった
公開時に何度か企画上映で見た。当時は登場人物の顔と名前が覚えられなくてモヤモヤしたのだけど、今回も途中で寝て、また続きを見たのでよくわからなくなる。それでも当時よりは把握した。主人公のセリフ回しが棒。三浦友和がやさぐれていてクズでかっこいい。おじさんの入れ墨にぎょっとする。「おかえり、おかえりなさい」と言ってドアを蹴る彼は今なら何か発達障害的な病名がつく。彼の家はトタン屋根で、工藤夕貴も団地で母子家庭のようで、子どもの貧困を感じる。バービーボーイズとレゲエが、当時はすごくセンスのある感じがしたものだ。中学生どうしの話なのだけど、今は大人や親として心配になるばっかりだ。大西結花がめっちゃかわいいのだけど、先生を堂々と批判して主張が強い。
もしも明日が晴れならば
なぜか不思議なシーンがいっぱい。特に商店街の白ずくめのオカリナ吹きカップルがいい。考えてみれば、3年の夏に野球部を辞めた生徒が夜中のプールにユニフォームで駆けつけるところから疑問。受験勉強が始まることへの抵抗か、受験戦争のまっただ中に放り出されることへの不安なのか、田舎の中にも閉塞感が感じられる。
微妙な年齢であることに加え、担任(三浦友和)の結婚詐欺疑惑みたいな事件で生徒たちは複雑な気持ちになる。台風が来てくれれば全部吹き飛ばしてくれそう。また、明に行ったイジメにも似た行為を恥じたり、レズビアンの関係への好奇心、そして健が美智子背中に薬品をかけたことの罪悪感・・・男女間にも様々な葛藤があった。
日常からの脱却。大人になったらもっと逃避したいときがある。責任感の薄い中学生時代だからこそ、何もかも忘れて饗宴できたのだろう。そのクライマックスにおける体育館での狂ったような踊りは全てを吹っ飛ばしてくれる。下着姿からブラまで取って・・・引きの映像に見入ってしまった。
『犬神家の一族』へのオマージュはちょっと衝撃。ちょっとしたワンカットが絶妙でもあった。見て損もないけど、若い頃に観るのと歳取ってから観るのではイメージが変わってしまうかもしれません。
鬱屈した田舎の中学生達は爆発するきっかけを待っている。
HDリマスター版をアマプラにて鑑賞。
リマスター版は暗闇のシーンが真っ暗で何も見えず、誰が監修したのかと問いたくなるほど最悪なものだった。
学生時代に映画館で観て衝撃を受け、それ以降一時期定期的にレンタルなどで鑑賞していたが、今回の鑑賞は実に20年ぶりくらいかと思う。
一口で言い表すことは難しいが、大まかなストーリーとしては、
全く不良にも見えないむしろ幼さすら残る普通の田舎の中学生達が、まるで台風の襲来とシンクロするかのように校内に居残り、日頃の鬱屈した脆く不安定な感情をそれぞれが爆発させ到底理解できないような行動に走る・・・といったところか。
しかしながらこの映画はストーリー云々を言うものではなく、少年少女が持っている彼らなりのはけ口が見つからない破裂ギリギリのエネルギーのようなものをいかに演技で表現し、観る側がそれをいかに受け止めることができるかが意図された見どころであり、鑑賞の醍醐味でもあるという、ある意味極めて演劇的な作品なのである。
工藤夕貴はじめ、実年齢も役とほぼ同じくらいのミドルティーンの無名の役者たちが、確かに演技としては未熟かもしれないが、嘘のつき用のない文字通り誠実で体当たりの演技をするため、リアリティのない軌道を外れた行動すらも不思議と受け入れる事ができてしまう。
工藤夕貴の布団に入り〇〇するシーンのワンカメ長回しや、それまでに優等生で二枚目役ばかりだった三浦友和のちょいクズで飄々とした人間臭い演技なども含め、相米慎二の強烈な演出力を感じ取ることができる、観る人の心に焼き印の如く心の目立つところに熱く半永久的に刻まれる、そういう映画なのである。
子供の頃には分からなかったけど
子供の頃に見た映画を、リマスタ化したAmazonで再見。
当時はよく分からなかったけど、結構攻めている映画だったんですね。工藤夕貴さんはアイドル的な女優さんだったと思いますが、ここまでさせるか、という感じです。自分的には、声優さんとしておなじみな渕崎ゆり子さんの少女時代が見れたのがうれしい。
台風とは学生運動とかの大きな世の中のうねりのイメージでしょうか。若者は鬱屈した葛藤を抱えていて、それは現代においては、崇高な死が無くなり、くだらない大人になるしかない、という現実があるためだ。主人公は、純粋な若者のまま崇高な死を体現しようとするが、それは客観的には滑稽な死でしか無かった、とそういう事かと思いました。
大昔に話題になっていたので観てみたが、これはひどい。 こんなものが...
ATGと東宝っぽい
鮮烈なインパクト
若さ溢れる
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