「70年代アンニュイをぶっ壊す1本」ダイナマイトどんどん K・Mさんの映画レビュー(感想・評価)
70年代アンニュイをぶっ壊す1本
「現代(1978年)の匂いが無い」という当時の映画評は言い換えれば、いつの時代でもブレずに観られるということだ。
子どもの頃に観た印象では、菅原文太の熱量と北大路欣也の顔が怖い事、何より田中邦衛が面白かった。大人になって観ても笑える。投げ方もマンガっぽいが、ベロンベロンになっていくさまはリアルさも交えて腹を抱える。
スポーツもののフィクションを実写で映像化すると、やたら不自然な加工をして興ざめしてしまうのが昭和時代の常だが、本作は野球も任侠も大作映画自体もパロディに捉えているため、稀有な等価感覚に満ちている。それが、どの観客層をも満足させられない要因だとしても、誰もやらないもの面白いものをつくろうという気が伝わってくる。
映画に必要なのは予定調和な作り込みより、最後まで引っ張っていく〈熱気〉じゃないかと思う。
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