「監督デビュー作」その男、凶暴につき アジシオ太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
監督デビュー作
映画好きを自称していましたが北野武作品は海外での受賞や評論家からの評価が高いという話は聞きつつも鑑賞したことがなかったので何から見ようか探していたところ、youtubeで冒頭のホームレスをリンチするシーンの映像を見て引き込まれたのでこの作品から見ることにしました。
結果として自分はこの作品がきっかけで北野武映画にハマり、2ヶ月の間に18本の全作品を一気に見ました。
で、その全作品の中でも一番好きなのがこの「その男、凶暴につき」です。
単純にたけしのルックスが一番色気があってカッコいいからというのもありますが、ラストの倉庫のシーンの画のカッコよさが堪らないからです。
また、セリフの少なさや説明を極力排除する点、画のこだわり、バイオレンス的要素などこれ以降の大半のたけし映画の原点になっていると思うからです。
我妻は後半の刑事を辞めて以降の約30分、実はひと言も言葉を発していないのですが、おそらくほとんどの方は気付かれていないと思います。
これは画や我妻の行動だけで心情を推し量る事ができるからではないでしょうか。
たけしがいかに言葉を使わず表現することにこだわってるかがわかります。
クレジットで脚本は野沢尚さんと記されていますが、たけし自身が映画を撮っていく過程で大きく内容を改変しています。
当初野沢尚さんはその事に激怒していましたが、その男凶暴につきの脚本を元にした「烈火の月」という小説のあとがきで映画を見て傑作だった、ラストの妹を殺すというアイデアを聞いた時は天才だと思ったという風に語られています。
30年以上前の作品ですが今見ても全然楽しめます。
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